日本語教師として大切にしていること3つ【ピクニック勉強会 第1回】
今日からAkoさん主催の「日本語ピクニック」勉強会が始まりました。
Akoさんとは、2021年の春にやりとりをして以来です。勉強会のことをTwitterで知って、これはぜひとも参加したい!と思っていて今日を心待ちにしていました。
全12回、半年の勉強会。異業種の方々も呼んでのセミナーなので、新しい視点で「最先端の日本語教師とは?」とこれからの働き方や授業の仕方を考えるいいきっかけになりそうです。
さて、今回のnoteはセミナー中に話があった
「教師として大切にしていること」。
3つに絞って私の意見を書こうと思います。
非言語のコミュニケーションに気を配る
非言語コミュニケーションといえば
・表情
・身ぶり、手ぶり
・服装
・声のスピード、トーン
などがあります。
この表のように、人がコミュニケーションを取るときには、受け取る情報を100としたときに
視覚情報・・・55%
聴覚情報・・・38%
言語情報・・・7%
というように、目から入ってくる情報が一番影響があることがわかります。
どんなにいい文法の説明をしても、
笑顔がなく暗かったり
しきりに髪の毛を触っていたり
腕を組んだり
そのような態度で学習者に接してしまうと、せっかくの授業がうまくいかなくなります。
私が意識していることや、やってみたことは主に3つです。
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・口角をあげ、笑顔でいる
→授業前に鏡の前でチェック
・どこかを触る癖がないか家族や友人に聞いてみる
→鼻先や前髪をよく触っているそう…!
・お腹から声を出すようにする(腹式呼吸)
→気づいたときにやってみている
吸ったときにお腹をふくらませ、吐いたときにへこませる
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私はたまにitalkiで英語や中国語の先生を探しているのですが、アイコンや動画のサムネイルで、ぱっと見ていいなと最後まで内容も見てしまうのは、やはり笑顔ではきはき話している先生。
きっとこの人は、よく話を聞いてくれるだろうなとか、落ち着くだろうなと印象がいい。私も今後も非言語コミュニケーションを意識していかねばと思います。(italkiの動画、作り直したいと思って早1年…!!!)
学習者を1人の大人として接する
これは特に初級の学習者を教える際に、気を付けていることです。
日本語学校にいたときに、私の学校では「みんなの日本語」を主教材として使っていました。それで初級では、絵カードを使ったり、リピートさせたりという活動をすることが多かったのですが、デメリットもありました。
日本語教師になって1年目のある日、休み時間になったときに一人の学生がやってきて、私に1枚のカードを見せました。
在留カードの生年月日を指さし、
そして、こう言いました。
「私は先生より年上ですから」
当時、その学生も含め、20人弱のほとんどの学生が寝ているクラスを担当していました。1、2人くらいしか聞いてくれないクラスの学生たちに、心底疲れていた頃で
「なんでこんなこと言ってくるんだろう」と悲しさと虚しさで何も考えられませんでした。
それから、授業を重ね、違うクラスも担当して段々気づきました。
・私は彼らに寄り添った授業ができていたんだろうか。
・どうせ聞いてくれないからいいやと諦めて、できないのは彼らのせいだと決めつけていたんじゃないだろうか。
自分の授業をうまくこなすためだけに精一杯。教え方だけに固執して、教科書をなぞるだけの授業。学生のことを考えていなかったんだと反省しました。
絵カードを見せるのも、
リピートさせるのも、
教科書を読ませるのも何のためなのか。
自分だけが満足しているんじゃないかと思うようになったのです。
このことがあってから、自分の授業の在り方を考えるようになりました。特に、2年目から変えてみたことは
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・ペアワークやグループワークを増やす
・作文やスピーチなどが難しい学生には母国語でもいいよと言う
・学習者ができていることに目を向け勇気づける
・「なんで?」「前も言ったよ」などと責めない
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などです。今でもどうしたら学習者をやる気にできるんだろう、とかモチベーションが下がったときや、落ち込んでいるときにどう接したらいいのか迷うことがあります。
でも「学習者も1人の大人」ということを心に留め、敬意を持って接することを忘れずにいればきっといい関係でいられると思います。
絶賛イヤイヤ期の2歳の息子がいるのですが、育児も同じだ…と毎日痛感しています。
言葉が伝わらないもどかしさ。焦り。不安。
それが攻撃的な態度になってしまうことがあります。(息子も自分のしたいことや気持ちをうまく言えなくて、おもちゃを投げたり、私を叩いたり、妹に八つ当たりすることも。泣 )
そこには、
相手に共感し「あなたのことちゃんと見ていますよ」
…そんなサインを送ることが必要だと感じる日々です。
いつも学び続ける教師でいる
「いつも学び続ける」というのは
①知識
②教え方
③時代や状況に合った授業の進め方
があると思っています。
①知識
日本人でも、日本語、日本文化のすべてを知っているわけではありません。私もいまだにわからない言葉に出会ったり、恥ずかしながら読み方を間違えていたり、漢字をど忘れしてしまったりすることがあります。
でも、わからないことをそのままにせずに、
・その都度、文法書やネットで調べたり
・一つの文法から関連する文法を調べていったり
・似ているものや使い分けは何かノートにまとめたり
時間はかかるけれど、とても大切だと思います。
そして、もう一つ。
今若い世代で使われている言葉は何か、移り変わっている揺れている言葉はあるかなどに敏感にもなっていたいなと思います。
先日、学習者さんとパーソナルカラーの話をしました。4つの四季で自分に似合う色がわかるというもので「イエベ春・秋」「ブルべ夏・冬」と分けられるものがあるそうです。
このように例えばファッション、メイクで日本だけの言い方・表現があるって興味深いし、流行っているものや話し方などを調べて学習者と共有すると面白いなと自分も勉強になります。
特にインスタグラムやYouTubeで流行りも調べるようにしています。
②教え方
これはアップデートし続けたいと思っていることです。というのも、大学生から、日本語学校までずっと「みんなの日本語」を使ってきたので、その教え方が基盤になっていたなと。
日本語学校を退職して「いろどり」や「げんき」を使ってみて、こんなやり方もあるんだな…と知らないことがたくさん出てきて、試行錯誤の毎日でした。
今後はセミナーやこのピクニック勉強会などを通して、1つの教え方にこだわらず、色々なやり方ができるように勉強していきたいと思っています。
③時代や状況に合った授業の進め方
これは教え方ではなく、何を使って授業をするかということです。
大学生時代は絵カードやフラッシュカードを手書きで作って、全部持ち歩くというなんともアナログな方法で授業を進めていました。
それは日本語学校に入ってからも使っていましたが、毎回用意するのも負担で、管理できなくなってきて、大変だな…と思うようになりました。
2年目から思い切って全部捨ててしまいました。(そこまでしなくてもよかったかもしれないけど) 初級を教えるときも、スライドで文や写真を写して学習者と画面共有して進めるようになりました。
大学4年まで自分のパソコンがなかった私。最初はスライド作成すらおぼつかなかったのですが、今では
・Googleフォームで宿題
・Googleスライドで授業のレジュメ
・ジャムボードで教室活動
などオンラインでできることに少しずつ取り組んでいって、なんとか慣れてきました。
紙で練習するメリットも、もちろんあるのですが、それだけではなく、色々なやり方を知っていて、効率的に学習者が学べる授業づくりができることが大切だと感じています。
色々な便利なツールが出てきて、使いこなすのは難しいですが、Twitterなどを見ていると参考になることばかりなので、情報収集しつつ、今後も自分で試しながら、あれこれ取り組めたらいいなと思っています。
「ピクニック勉強会」すでに次回が待ち遠しい
以上3つのこと
・非言語コミュニケーションに気を配る
・学習者を1人の大人として接する
・いつも学び続ける教師でいる
ことは常に心に留めておきたいです。
「ピクニック勉強会」は途中参加もOKだそうです。録画視聴もできるので、私のように育児で夜は忙しい!って方も助かるはずです。(未参加の日にちも録画視聴ができるので参加費用がかかるそう)
今後のスケジュールも楽しみです!!!