お金の問題提起 第1弾 寄付や募金にモノ申す
これから人間の醜い金銭欲について語ります。けっして楽しい話ではありません。多くの人は、お金に対して「汚い」「いやらしい」「下品」といったネガティブなイメージを持っているでしょう。そのため、お金の話をすること自体が、タブー視されたり、品のない行為と捉えられたりします。しかし、お金が関係する問題は、誰かが指摘する必要があります。
そこで、いくつかの問題提起をしますので、考える機会にしていただけたらと思います。できる限り事実を述べますが、もし認識の間違いがありましたら指摘してください。登場するのは特定の個人や団体ではありませんので、無用な争いを避けるため、個人名や団体名は伏せさせていただきます。どうしても知りたい方は、グーグルで検索してみてください。
1.寄付や募金の「中抜き」問題
寄付や募金が「中抜き」されている疑惑があることをご存じですか。
普通は、寄付や募金の全額が被災地や困っている人に届けられていると思いますよね。寄付や募金されたお金が本来の目的で使われず、一部が運営団体などに不当に流用されているのではないかという疑惑があります。
運営団体も人件費や経費が必要だから、多少の中抜きは必要だと思います。しかし、7割くらいしか届けられていないならガッカリしますよね。寄付や募金には、このような問題が存在するのです。中抜き疑惑は、具体的には、以下の点が指摘されています。
1) 不透明な会計処理:
寄付金の使い道が明確に示されていない。
人件費や経費が過剰に計上されている。
監査が不十分である。
2) 不当な利益の追求:
幹部が私腹を肥やすために寄付金を使っている。
高額な報酬を支払っている。
不必要な贅沢をしている。
3) 支援活動への影響:
寄付金が本来の目的で使われないことで、支援活動が十分に行われない。
支援対象者への支援が遅れたり、縮小されたりする。
寄付者からの信頼を失い、支援活動が継続できなくなる。
「中抜き」疑惑の背景
近年、寄付や募金詐欺事件が相次いで発覚したことや、東日本大震災の義援金問題などが影響し、「中抜き」に対する批判が強まっています。また、インターネットの普及により、寄付金の使途が透明化される一方で、悪意のある団体も増え、より巧妙な手口で寄付金を騙し取るケースも増えています。
「中抜き」批判への対策
「中抜き」批判への対策としては、以下のことが挙げられます。
1)透明性の向上
寄付金の使い道を明確に示す。
人件費や経費を適正に計上する。
監査を徹底する。
2)説明責任の強化
寄付者に対して定期的に活動報告を行う。
寄付金の使途に関する質問に丁寧に答える。
3)倫理的な運営
幹部報酬を適正なレベルに抑える。
不必要な贅沢を控える。
支援活動に専念する。
寄付者としてできること
1)信頼できる団体を選ぶ
設立年数や活動実績を確認する。
過去に問題がないか調べる。
評判や口コミを参考にする。
2)寄付金の使い道を明確にする
寄付する前に、どのように使われるのか確認する。
領収書や活動報告書を発行してもらう。
3)不審な点があれば声を上げる
使い道が不明瞭な場合や、運営に問題があると感じた場合は、団体に問い合わせたり、関係機関に相談する。
「中抜き」は、寄付や募金に対する信頼を損ない、支援活動全体に悪影響を及ぼす問題です。
支援団体は、透明性と説明責任を強化し、倫理的な運営を心がけることで、「中抜き」批判を払拭し、より良い社会を実現していく必要があります。
2.非営利型法人の脱税問題
寄付や募金の運営団体は、公益法人やNPO法人、一般社団法人などの非営利型法人であることが多いのですが、ここにも大きな問題が潜んでいます。
非営利型法人は、公益性や社会貢献性を目的として設立された法人であり、一般の企業とは異なり、法人税等の税制上の優遇措置を受けることができます。しかし、その一方で、非営利型法人であることを悪用して、脱税を行うケースも存在します。
※すべての非営利型法人が脱税しているわけではありません。
非営利型法人の脱税手口
非営利型法人の脱税手口としては、以下のようなものが挙げられます。
1) 架空経費の計上
実際には存在しない支出を計上することで、課税対象となる所得を少なく見せかける手口です。
例えば、実際には購入していない物品やサービスを購入したように見せかけたり、交際費を私的な支出に流用したりするなどです。
2) 収入の隠し
実際には得た収入を帳簿に記載せず、課税対象となる所得を少なく見せかける手口です。
例えば、寄付金や会費などの収入を帳簿に記載しなかったり、現金で受け取った収入を申告しなかったりなどです。
3) 不適切な資産運用
非課税となる資産運用を行うことで、課税対象となる所得を少なく見せかける手口です。
例えば、本来は課税対象となる事業活動から得た収益を、非課税となる公益事業に流用したり、非課税となる金融商品に投資したりなどです。
4) 関連会社との取引による利益移転
関連会社との取引を通じて、利益を非営利型法人に移転することで、課税対象となる所得を少なく見せかける手口です。
例えば、関連会社に高額なサービス料を支払ったり、関連会社から低額で資産を購入したりなどです。
非営利型法人の脱税問題の背景
非営利型法人の脱税問題が起きる背景には、以下のような要因が挙げられます。
1) 税務調査の不足
非営利型法人は、一般企業に比べて税務調査の頻度が低いため、脱税が発覚しにくいという状況があります。
近年では、国税庁も非営利型法人に対する税務調査を強化していますが、依然として十分とは言えない状況です。
2) 法人側の認識不足
非営利型法人の役職員の中には、税務に関する知識が不足しており、脱税行為をしてしまうケースがあります。
また、非営利型法人であることを悪用して、意図的に脱税を行う者も存在します。
3) 制度の複雑性
非営利型法人に適用される税制は複雑であり、誤解が生じやすいという状況があります。
特に、公益法人等認定制度や寄付金控除制度など、非営利型法人特有の制度は、理解が難しく、誤った解釈に基づいて脱税行為をしてしまうケースもあります。
非営利型法人の脱税問題への対策
非営利型法人の脱税問題を解決するためには、以下のような対策が必要と考えられます。
1) 税務調査の強化
国税庁は、非営利型法人に対する税務調査をさらに強化し、脱税行為の摘発を厳格化する必要があります。
特に、公益法人等認定制度や寄付金控除制度などの利用状況を重点的に調査することが重要です。
2) 法人側の意識改革
非営利型法人の役職員は、税務に関する知識を向上させ、脱税行為の違法性を認識する必要があります。
また、法人内部に税務に関するコンプライアンス体制を整備することも重要です。
3) 制度の簡素化
非営利型法人に適用される税制を簡素化し、誤解が生じにくいようにする必要があります。
特に、公益法人等認定制度や寄付金控除制度など、非営利型法人特有の制度については、分かりやすい解説資料を作成したり、説明会を開催したりすることが重要です。
非営利型法人の脱税問題は、社会全体の信頼を損なう重大な問題です。
関係者一丸となって対策に取り組むことで、非営利型法人の健全な運営と税務の公平性を確保することが重要です。
3.寄付・募金詐欺の問題
寄付や募金は、困っている人を助けたり、社会貢献したりするための重要な手段です。しかし、近年、悪意のある者たちが寄付や募金を装って金銭を騙し取る「寄付・募金詐欺」が横行しており、大きな社会問題となっています。
被害者への深刻な影響
寄付・募金詐欺の被害者は、金銭的な損失だけでなく、以下のような深刻な影響を受けます。
金銭的損失
寄付金や募金金が本来の目的で使われず、詐欺グループの私腹を肥やす。
少額でも積み重なれば、生活に支障をきたすほどの損害となる。
高額な寄付を要求されるケースもあり、経済的な困窮に陥る可能性も。
精神的な苦痛
善意を悪用されたことに深い憤りや失望を感じる。
信頼していた人や団体が詐欺に関与していた場合、精神的なショックを受ける。
再び寄付や募金活動に参加することに抵抗を感じるようになり、社会貢献意欲が低下する。
個人情報の漏洩
寄付や募金の際に提供した個人情報が悪用されるリスクがある。
悪質な業者によるダイレクトメールや勧誘電話の増加に繋がる。
個人情報の漏洩は、なりすまし詐欺などの二次被害に繋がる可能性も。
巧妙化する詐欺の手口:具体的な事例と見分け方
寄付・募金詐欺の手口は年々巧妙化しており、一見すると本物と見分けがつきにくいケースも増えています。以下に、代表的な詐欺の手口と見分け方をご紹介します。
1) 災害や社会問題を悪用した詐欺
実際に発生した災害や社会問題を装い、同情を誘って寄付を募る。
架空の団体や活動内容をでっち上げ、偽りの情報を流布する。
緊急性を強調することで、冷静な判断を妨げ、迅速な寄付を促す。
見分け方
団体名や活動内容をインターネットで検索し、信頼できる情報源かどうかを確認する。
募金の使途が明確に示されているか、具体的な活動内容が説明されているかを確認する。
寄付金の支払い方法が安全かどうか、個人情報の取り扱いについて明確に説明されているかを確認する。
2) 電話や訪問による詐欺
電話や訪問で直接話しかけ、親身に話を聞いて同情を誘う。
高齢者や一人暮らしの人をターゲットにするケースが多い。
すぐに寄付を要求したり、強引な態度で迫ったりする。
見分け方
不意に訪れたり、電話で寄付を要求する団体には注意する。
すぐに判断せず、家族や周囲に相談してから寄付を行う。
寄付金の領収書を必ず発行してもらい、控えを取っておく。
3) インターネットやSNSを使った詐欺
偽の募金サイトやSNSアカウントを作成し、寄付を募る。
偽のクラウドファンディングプロジェクトを立ち上げ、支援を呼びかける。
巧妙な文章や画像で、本物のサイトやアカウントと見分けがつかないようにする。
見分け方
募金サイトやSNSアカウントのURLが正規のものかどうかを確認する。
寄付金の支払い方法が安全かどうか、個人情報の取り扱いについて明確に説明されているかを確認する。
寄付を行う前に、サイトやアカウントの運営者について調べ、信頼できるかどうかを確認する。
社会全体で取り組む課題:被害拡大を防ぐための対策
寄付・募金詐欺は、個人の努力だけでなく、社会全体で取り組む必要がある課題です。被害拡大を防ぐためには、以下の対策が必要です。
1) 情報リテラシーの向上
寄付・募金詐欺の手口や見分け方について、広く情報を共有する。
特に高齢者や一人暮らしの人への啓蒙活動を行う。
学校教育や社会教育の中で、情報リテラシー教育を強化する。
2) 悪質な団体の摘発
警察や消費者庁などの行政機関が、悪質な団体の摘発に努める。
寄付・募金詐欺に関する情報提供窓口を設ける。
詐欺グループの資金洗浄や資産隠しを防ぐための対策を強化
寄付や募金は、社会をより良い方向へ導くための重要な活動です。詐欺に遭わないよう、一人ひとりが注意を払い、信頼できる団体へ寄付することが大切です。
「寄付や募金にモノ申す」のまとめ
寄付や募金の中抜き問題は、知っている人も多いと思います。しかし、知らなかった人は驚いたと思います。運用団体の問題もあるので、想像以上に闇が深いといえるでしょう。善意を踏みにじる寄付・募金詐欺はもってのほかです。
もっとも、非営利型法人は、会計処理が複雑で人件費や経費が嵩む問題があります。会計をお願いできる人材が少なく、税理士や公認会計士の報酬も割高になります。国や自治体の報告義務がたくさんあるので、事務処理の人件費がかさんでしまいます。このため、たくさん中抜きしているように見えることがあります。ある程度の経費は必要ですので、この問題を解決するには、現地に直接届けるしかないでしょう。
善意はそのまま届けたいものですね。例えば、ユニセフに寄付をする時、ユニセフ親善大使の黒柳徹子さんの口座に振り込む方法があります。黒柳徹子さんは、事務費用などを1円も受け取らずに全額をニューヨークのユニセフの本部に送っています。日本ユニセフ協会を介さないので中抜きは発生しません。このように、中抜きを防ぐ方法はあります。
近年は、災害が多いので、寄付や募金をする機会が増えたと思います。人の不幸を悪用する詐欺師の存在は大きな問題です。「どうして詐欺師が増えたのか」を考える時期に来たのではないかと思います。また、寄付や募金の金額を競争している有名人も問題だと思います。寄付や募金を自身の宣伝に利用しているように見えます。あくまで善意なのですから、寄付や募金の金額を発表する必要はないはずです。
富山県滑川市の水野達夫市長のように、さりげなくボランティアする人って格好いいと思いませんか。
善意に満ちた助け合う社会を実現する必要があると、私は思うのです。
※黒柳徹子さんのオフィシャルウェブサイト
トットちゃん