ダフト・パンクの余韻に浸りながら『EDEN』を見る
1978年の電子音楽を描いた『ショック・ドゥ・フューチャー』、ハウス音楽をバックに1980年代のエイズ活動家団体を描いた『BPM ビート・パー・ミニット』、そして1990年代のガラージ(ハウス/ディスコ音楽の一種)DJを描いた『EDEN エデン』。この3作品を勝手に三部作と見なしたい。
『BPM』も傑作だが『EDEN』も傑作だ。これを作ったミア・ハンセン=ラヴは天才だと思う。
『EDEN エデン』では2000年代に入って流行の波がエレクトロに向かっていく中、ガラージを流し続ける主人公が描かれているが、この次世代を描いた新しい作品がこの三部作に連なるものとして出てくることを望んでいる。
ところで『EDEN エデン』ではダフト・パンクの音楽がところどころ使われ、ダフト・パンクの2人も登場する(うち1人はヴァンサン・ラコストが演じている)。
2人は作中でスターダムに上り詰めていくのだが、日本語字幕でどうしても気になるところがある。ダフト・パンクを知らないという人に対して説明する台詞。
ダフト・パンクが「バンド」? んなわけねえよ。誤訳とかそういう以前の問題だ(前身のDarlin'を「バンド」と呼ぶところは合ってるけど)。
それはさておき、作中ではDa Funkに始まり傑作アルバム「Discovery」からOne More TimeとVeridis Quo、そして「Random Access Memories」のWithinまでが使われている。2人はところどころしか登場しないが、全編通してダフト・パンクの影が感じられる作品だ(その影を感じないと映画をいまひとつ味わえないと思う)。
そして2020年、ダフト・パンクは解散した。あの最後の爆発の余韻に浸りながら『EDEN エデン』を見ると感慨もひとしおだ。去り行く時代。それもまた悠久のリズムを構成する1つなのである。
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