【紹介】毎分23人がフラれている「ハートブレイク・ヘッドライン」(40mP)
初めましての人は初めまして。
ボカロPをしている導天使と申します。
本日は、私が作った曲ではないですが、おすすめボカロ曲について紹介していきます。
今回は第二弾として、40mPさんの「ハートブレイク・ヘッドライン」を紹介します。
このnoteのタイトルからもお察しのように、ネタ寄りの曲になっています。
歌詞をwikiより全文引用します。
年間の失恋人口はおよそ1200万人で、
毎分約23人がフラれていることになります。
こうしている瞬間にも、日本のどこかで尊い恋が失われており
国の対応が求められます。
※なお、この数字に何ひとつ正確な調査や統計は含まれておりません。
貴方が誰かを愛すことで救われる恋があるとしたら、
その清き愛はこの世界を変えるのかもしれないかもしれない。
例えば、僕の目の前で少女がある日突然、
僕の心を奪ってそのまま消え去ったとしたら
きっとね、僕は悩むでしょう。
何も手につかなくなり、日本の国内生産は平年を下回るでしょう。
※なお、この仮定に何ひとつ明確な根拠や証明は含まれておりません。
貴方が誰かを愛すことで救われる恋はどこにもなく、
その清き愛じゃこの世界は変わらないかもしれないけど。
貴方が誰かを愛すことで貴方自身が救われるなら、
その清き愛はこの世界を変えるのかもしれないかもしれないないかもしれない。
歌詞を見ただけでも、かなりその特徴が伺えるかと思います。あまり、歌詞で句読点を全てにおいてつける曲はないんじゃないでしょうか。
いきなり「年間の失恋人口はおよそ1200万人」という印象的なワードが来て心を掴まれます。
勿体ぶっておいて、結論が「しれないかもしれない」という曖昧オブ曖昧になっているのも面白いですね。
ただ、この曲を単なるネタ曲として見るだけでは勿体ないなと個人的には思っています。
というのも、作曲するにあたっても作詞するにあたっても参考になるなあという部分があるからですね。
この曲の特徴として、AメロとBメロ、そしてサビの分かれ方がはっきりしている点が挙げられると思います。
曲を聴いてもらえれば分かりますが、歌詞の※の部分がBメロで、その前の塊がAメロ、その後の塊がサビとなっています。
この曲の展開の仕方、そして歌詞の作り方が参考になると思う部分です。
歌詞を作るにあたって、ストーリー性を持たせるならば起承転結を意識して作るということが大切になってきますが、なかなか起承転結を持たせるのは難しいです。
ところが、この曲においてはBメロ部分が分かりやすいくらい「転」になっているんですよね。
Aメロで、「毎分23人がフラれている」ということを示したその後で、Bメロ部分で「※なお、この数字に何ひとつ正確な調査や統計は含まれておりません。」と、Aメロの事実内容をまるごと否定しています。
現実の曲で、ここまで「転」を表現する必要性はないと思いますが、起承転結のはっきりした分かりやすいケースとして参考になる部分があるかもしれません。
そして、こうした激しい「転」がある中で、曲のリズムというのもAメロ・Bメロ・サビで変えているんですよね。
Aメロは叙述しているような、流れる感じのリズム。
Bメロは0.5拍はみ出してタタン タタンのリズム(表現の仕方が難しいんですが聴いてもらえれば分かります)。
サビは1拍ずつという、AメロやBメロよりもさらにシンプルなリズムになっています。
このサビのリズムというのも、すごく参考になるなと思います。
サビは当然ながら力を入れたい場所なので、色々混ぜがちなんですが、結局はシンプルなサビが一番良いんですよね。
そのお手本みたいな感じの曲だと思います。
このように、
(1)Aメロ・Bメロ・サビの展開がはっきりしている
(2)歌詞における起承転結がはっきりしている
(3)サビのリズムのシンプルさ
という点で、すごく参考になるなと感じています。
ネタ寄りの曲であることは否めないので、カラオケで歌うと盛り上がるんじゃないかなと思いますよ。
最後に歌詞解釈しての個人的感想だけ簡潔に述べると、結局恋愛って何が正解なのか分からんよなあという感じです。
たとえそのときは正解だと思っても、結局その答え合わせってその場では出来ないですからね。
私はあまり恋愛の曲作らないんですけど、というのも「君を救う」とか「君のために」というような絶対性・確実性のある、断言するような表現を使いたくないというのがあるからなのですが、この曲では恋愛における不確実性を直接的に表現していてその点も良いなあと思います。
ということで、毎分23人がフラれている曲「ハートブレイク・ヘッドライン」の紹介でした。
今後も、自分の好きなボカロ曲を様々紹介していけたらと思っていますのでよろしくお願いします。
導天使