はじめに
X(Twitter)で
『任天堂法務部が存在しない』というポストを見かけたので確認してみた。
任天堂に法務部は存在する
採用情報ページ:おもしろさを損なわない 法務部 北谷
コーポレートガバナンスに関する報告書:問い合わせ先 法務部
存在した。
『存在しない』はどこから来たのか
『任天堂法務部は優秀』『任天堂法務部は最強』というのはTwitterが始まった頃には既にネット上ではよく語られる話として広まっていた。
そんななか2018年に任天堂が訴訟を起こし、注目が集まった。コロプラ訴訟である。
2018/02/15
「任天堂法務部最強伝説」は本当? ドンキーコング訴訟からコロプラ訴訟まで
この記事はYahoo!ニュースでも取りあげられた。
記事内にて、既に伝説となっていた法務部の存在有無について、任天堂に問い合わせるも明言は避けられた。
明言されなかったことも有り、口頭弁論が始まり任天堂の知的財産部が出てくると、「法務部は知的財産部になったのかも」という言説が流れはじめた。
2018/02/23にはニコニコ大百科の"任天堂法務部"の記事に『任天堂法務部は任天堂知的財産部と改称している。』の記載が追加されるも、この時点では不確かな情報としてあまり拡散していなかった様子。
状況が一変したのが、およそ半年後の2018年9月後半。
残念ながら時期以外は特定はできなかったが、バズったツイートがあったのか、ここを境に『任天堂法務部は存在しない』と断定化されたミームが一気に拡大し、今に至る。
検索:任天堂法務部 存在しない
組織図を見てみる
ところで、2024年現在では存在する法務部。2018年頃には存在しなかったという事は無いだろうか。
ちょうどX(Twitter)に当時近辺の会社案内の画像を上げてる方がいたのでメモを取らせてもらう。
総務本部の下に「法務部」と「知的財産部」の両方あるのが分かる。コロプラの件は知財の問題だったので、知財の人間が出てきただけの話だ。そもそも法務と知財は異なる業務。
ところで、任天堂法務部として語られてきたものは全て知的財産部の話だったのだろうか。
もっと古い組織図も見てみる
ダイヤモンド社が出していた『組織図系統図便覧』
https://www.fujisan.co.jp/product/1281681169/
最後に出版された版に載っている任天堂の組織図が、こちら。
2009年には法務部は無くて、知的財産部だけが存在。
法務の仕事を知財部で担当していたか、総務部が担当していたかは、図では不明。
法務部は無いのか〜と、さらに遡ったところ2005年時点に法務部を発見。
2005年から2006年で、法務部だった箇所が知的財産部が入れ替わっている。
つまり、
2006年から2010年代に「法務部を知的財産部と改称」して「法務部は存在してない」というのが正しい時期が存在したということ。
しかし、存在しないと言われはじめた2018年時点では法務部は存在していて、既に事実に反しているというややこしさ。
(追記)『任天堂法務部』はどこから来たのか
過去の経緯を辿ると『任天堂法務部』がミーム化したのは以下のエントリがはてブでホットエントリーになった(バズった)以降のようである。
任天堂法務部 最強列伝
この記事が書かれたのは2008年7月30日。
つまり、任天堂に法務部が存在していない期間。
有ると信じた時に無く、無いと信じた時には有る。
結論
なぜ『任天堂法務部は存在しない』と言われるのか。
最強と言われれば最強と信じ、
無いと言われれば無いと信じる、そんな純粋な人が多いから。