フットケアと糖尿病
身近な方に糖尿病の方はいらっしゃいますか?
糖尿病は日本人の国民病ともいわれています。
現在日本の糖尿病患者数が約1000万人、
糖尿病予備軍が約1000万人といわれています。
この糖尿病患者数には糖尿病を強く疑われる人も
含まれており、このうち2~3割は治療を受けていないと言われています。
(糖尿病ネットワークHPより)
糖尿病で怖いのは合併症です。この合併症による別の病気で亡くなる
方も多いですし、医療費も多くかかってしまいます。
日本の一年間の税収60兆円に対し、医療費は40兆円と言われています。
この比率びっくりしませんか?
その莫大な医療費の中で糖尿病を含めた生活習慣病でかかる医療費は
全体の約3割を占めていると言われています。(厚生労働白書より)
生活習慣病は生活習慣(食事、運動、睡眠、ストレス等)で予防できる病気です。
私が糖尿病という病気を意識したのは、フットケアの勉強をしたころから
でした。
同じスクール生に看護師さんが何人かいました。
そのうちの一人の看護師さんが透析病院に勤めていて、時々患者さんの
フットケアをされている方でした。
その頃の私は全く医療知識がなかったので、
私の頭は 透析+フットケア=?の図式でした。
DM (diabetes mellitus)= 糖尿病というのも初めて知りました。
私が受けていた講座はサロン系のフットケアでしたので、主に病気の方の
ケアは習いませんが、足に関する知識として(もしくはケアしてはいけない足)
を判別するために爪白癬(爪水虫)や足裏の疣贅(イボ)、下肢静脈瘤などのある足。
それと、糖尿病患者さんの足です。
なぜフットケアに糖尿病の知識が必要かというと、
まずは、糖尿病で怖い合併症のお話からさせてもらいます。
合併症というのは、ある病気に関連して起こる別の病気の事をいいます。
糖尿病の主な合併症は
糖尿病網膜症
糖尿病腎症
糖尿病神経障害
糖尿病血管障害
感染症
等々
糖尿病の合併症で怖いのは、脳梗塞、心筋梗塞は命に関わりますし、
網膜症で失明したり、
腎症で人工透析で通院したり、
足趾が壊疽(えそ)で、下肢切断等ということは
皆さん聞いたことがあるかと思います。
以前に日本初の足の総合病院と言われている「下北沢病院」主催の
セミナーを受講しました。
本日はセミナーで学んだ知識、
足にまつわる糖尿病についてのお話をさせていただきます。
ここでは、「糖尿病性足病変(とうにょうびょうせい あしびょうへん)」
の三つの問題と、壊疽した部分だけ取り除くデブリードマン外科手術だけではダメな理由をご説明します。
糖尿病性足病変 三つの問題
1.血行障害
2.感染
3.糖尿病性神経障害
なぜ上記の三つが問題なんでしょう?
まずは足の位置は身体の中で一番心臓から遠い臓器となります。
足の指先は細い血管が通っています。末梢神経もです。
身体が高血糖状態が続くと、血管が傷つき(血管障害)
さらに末梢神経の代謝も異常をきたします(神経障害)
血糖値が高いと水虫、細菌、ウィルスに対する抵抗力が
弱まり感染しやすくなります。(感染症)
少し分かりやすく説明すると、
糖尿病患者さんは足先や足裏の感覚が鈍くなり、ぶつけたり、
傷をつけても気が付かないことがあります。
小さな傷でも放っておくと、細菌やウィルスに感染し、
潰瘍(かいよう)ができ、そこから壊疽が始まってしまったりします。
普段靴下等履いていると家族は気づきにくく、気づいた時には
指先がすでに真っ黒!という状態も聞いたことがあります。
慌てて病院に行きますが、壊疽した足先は切断ということになります。
実はここからが糖尿病の怖いところです。
壊疽した指先を切断し、縫合してそれで終わりではないのです。
思い出してください、糖尿病患者さんには血管障害が良くあります。
指先を切断してなくなっても血液が行き届かない虚血状態、さらに
感染が進行すれば、壊疽は足先から足部、かかとへとどんどん進行
してしまいます。
虚血状態のまま壊疽部分を切断しても、どんどん壊疽は進んでしまうので、
血行再建手術やバイパス手術で血管を拡張する治療が必要になってきます。
セミナーの症例で、足裏に数センチの潰瘍ができ病院を受診した糖尿病患者さん。
足全体も腫れていて感染もありました。
まさか、30日後には足の前足部まで切断とは思われなかったでしょう。。
血行障害がある足にはどんな外用薬を塗っても傷は治りません。
傷を治すのに必要な栄養(血行)が行き届かないからです。
私は医療従事者ではない民間のフットケアセラピストですので、
糖尿病患者さんのフットケアをすることはありませんが、
高齢者の足のケアをする際には、痛みやしびれがないか、
皮膚の色、皮膚の温度(冷たいか熱いか)、腫れはないか等
注意をしてみていきます。
もちろん既往歴(病気の有無、病歴)は事前に確認します。
高齢者の中には長年高血糖を放置して、医療機関の治療を
受けていない方もいらっしゃいます。
そういった方が、民間のフットケアを受けられた際、
もし万が一足の爪を切っている際に皮膚を少しでも傷つけて
しまったりすると大変なことになってしまいます。
先にお伝えした私のフットケアスクールの同期の
透析病院に勤めている看護師さん。
現在日本で一番多く透析治療を受けられているが、
糖尿病腎症の患者さんです。
透析患者さんのフットケアを行うことにより、
定期的に足の状態をチェックするのはとても大切なことなのです。
あとはご高齢の両親の「足」の様子にも、時々関心を
持っていただきたいのです。
痛みやしびれはないか、腫れやむくみはないか、
触った感じ冷感や熱はないか、皮膚の色は正常か、
足裏、爪の状態はどうか等です。
もし、糖尿病を患われていて、足に異常がある場合は
「足の専門外来」などで調べお近くの病院を受診するのを
お勧めします。
念のため、下北沢病院と済生会川口総合病院のリンクを
張っておきます。
どちらもフットケアではとても有名な病院です。
下北沢病院
https://www.shimokitazawa-hp.or.jp/
埼玉県済生会川口総合病院
http://www.saiseikai.gr.jp/section/hifuka.html
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
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