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財務省と積極財政について

大蔵省が解体されて財務省になってから財務省が権力を持っていた時代というのはない。大蔵省の末期もそんなもんだったんだろう。

財務省というのは予算の中でも一般会計を扱う省である。
一般会計というのは国家予算と呼ばれ、予算の采配は国会の審議が必要となる。例年だいたい100兆円くらいあるのがその内訳は下記の通りだ。

財務省のHPより

社会保障費への補填が33%、国債の返済が22%、この二つで55%を占める。
財務省が管理する実質の予算は半分もないのだ。
たかだか50兆円程度である。
たかだか50兆円というのもなんだが、歳費の中には一般会計とは別に各省庁が独自で持っている特別会計というものがある。特別会計は一般会計の4倍の規模がある。
財務省が管轄する金額が50兆円とすると特別会計は200兆円ある。

かつて財務大臣を務めた塩爺こと塩川正十郎さんは一般会計が赤字を削っているのに特別会計で浪費していることを揶揄し、
「母屋でおかゆをすすっているときに、離れですき焼きを食べている」と言ったそうだ。
こういう状況なので財務省が減税を断固阻止しようとするのは当然のことだ。

財務省というのは、母屋にいるが割とお金がないからおかゆをすすり、
お金がないということは、たいした権力もないのだが、かつての大蔵省由来のプライドだけは高いという結構厄介なところなのだ。

森永卓郎さんがザイム真理教という本を出して結構話題になったが、この本にはたいしたことは書いていない。今更、日航123便がどうとかを自慢げに話している人なので森卓さんはその程度の人といえばその程度の人なのだが、そういうところがおもしろい人なのだ。

日本の財政に切り込むのであれば、社会保障費と特別会計が本丸なのだが、森卓さんはそこに関しては一切言及しない。病身の森卓さんには荷が重いのだろう。堀の外側をウォーキングして健康を保つのだ。
森卓さんはその程度の人なのだが、そういうところがおもしろい人だ。

しかしこの本は購入して損はない。
森卓さんの息子で経済評論家の森永康平さんの家にこのザイム真理教が献本で送られてきた際、森永康平さんの幼い子供が表紙の森卓のイラストを見て「じじだっ!」と言ったそうである。
この本の価値はこの表紙だけだと言ってもいい。この森卓さんのイラストはすごくいい。イラストというよりもこれは大嶋奈都子さんという方が作った消しゴム版画だ。大嶋さんは様々なイラストを描くが、特におじさんの消しゴム版画が得意という作家だ。

・積極財政について
森卓さんは積極財政派で森卓さんから見れば緊縮財政の財務省を批判しているのだが、積極財政と緊縮財政どちらがいいのかという議論自体は不毛である。MMT論も同様だ。

お金はたくさん刷ってたくさん使えば万事OKというものではないし、切り詰めて切り詰めてたくさん貯金して節約すればいいというものでもない。
お金というのは何に使って、何に使わないのかということが大事だ。

積極財政、緊縮財政を議論をする前にこのお金の使い方について議論する必要があるのだが、森卓さんはこの辺りについてはあまり言及しない。
この話になると真っ先に槍玉に上がるのは社会保障費だからだ。
森卓さんは社会保障費については切り込まないのである。森卓さんはその程度の人なのだが、そういうところがおもしろい人だ。

追記
財務省は厚労省のスケープゴートだろう。
諸悪の根源と言ってもいいのは財務省より、厚労省だ。
ここ最近の財務省批判の過熱は厚労省の身代わり地蔵である。
社会保障費に比べたら税金などたいしたことないではないか。


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