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「SEVENTEEN POWER OF LOVE : THE MOVIE」 - そして、"オフライン"への帰還
★★★★★
ドラマではない話ですが、SEVENTEENの映像作品が公開されたのでひさしぶりに映画館へ行きました。昨年2021年の11月に開催されたオンラインコンサート「SEVENTEEN CONCERT <POWER OF LOVE>」のステージ映像を中心に、メンバー13人のインタビューを交えてSEVENTEENとしてのこれまで、楽曲づくりのこと、コロナ時代を経て感じるファンへの想いなどを綴った一本。もちろんSEVENTEEN自体が好きだからというのはありますが、この2年余りで失ってしまっていたあらゆるエンターテイメントにおける「オフライン」での当たり前の交流に対する渇望を、改めて噛みしめさせられる映画でした。
登場するライブシーンは基本的にオンラインで行われたコンサートのものなのですが、むしろ臨場感に溢れてパフォーマンスの面白さが伝わってくるので、リアルに観てみたいという気持ちを強烈に呼び起こされます。また曲ごとの話を挟んだりするためか、SEVENTEENの楽曲のクオリティの高さや、漫然と聴き流していると気づかなかったような細部に至るこだわりがふと分かる構成になっている気がしました。コンサート時は中国人メンバー2人が中国で活動中だったため現場にはいませんでしたが、彼らが映像で出演する曲も1曲あり(それがめちゃめちゃ良い)、13人の存在感を充分に感じられます。
インタビューの軸はやはりオンライン化を余儀なくされた中で過ごした時間、そしてようやく再びオフラインへと戻り始めた中でファンと対面するコンサートについて。
2020年からの2年間は、観客の立場でも、本当に多くを考えさせられる時間だったと思います。オンラインコンサートの文化がある程度確立されたこと自体は悪くなかったかもしれません。世界を近くに感じることもでき、距離が思うほど障壁ではないと言える感覚。同時にオフラインの、自分自身の目と耳で直接受け取ることができるコンテンツの特別な価値は、それがどれほど特別なのか、想像以上に身に染みました。だからこそ対するアーティスト側の人々にとって、生活の主体がそこにある人々にとって、コロナに多くを奪われてしまった時間はとても厳しくて挑戦の連続のようなものだったのだろうと実感します。
この「POWER OF LOVE」は、そんな中にあって、そんな環境だからこそ生まれるものを大事に、そしてオフラインへの帰還を燃え続ける原動力に、時間を無駄にすることなく過ごしてきたSEVENTEENの2年間の質量が分かる作品になっている気がします。海外での人気も大きいアーティストだからこその目線もあるのかもしれません。選ぶ言葉の端々に一歩一歩きちんと踏み締めて大人になった印象があり、メンバー同士の絆の濃さやファンに対する感謝の言葉も嘘がない感じがするというか、素朴で飾らず、素直にいいグループだなぁとなんだかしみじみ映画館から出てきました。この映画をプロローグに、再び始まるオフラインでの新たなステージへ期待が膨らんでやまないです。