「真心が届く」 - 誠実さという癒しを知るラブストーリー
★★★★
「ライフ」を観てイ・ドンウクが演じる真面目寄りのキャラクターもなかなか好きかもしれないと思い観てみたドラマ。もちろん、こちらはラブコメなので全然ノリは違いますが、思いのほか面白かったです。やはり役者が良いとキャラクターに愛着がわくもの。
薬物スキャンダルに巻き込まれ、無罪判決が出たにも関わらず2年間も芸能界を干されている女優のオ・ユンソ(ユ・インナ)。復帰を目指し弁護士が登場する人気脚本家の新作ドラマに出演するために、条件として法律事務所で実際に3ヶ月働くことになった彼女は、所属事務所の社長のツテでオルウェイズ法律事務所にやってくる。そこで彼女の面倒をみることになったのがエース弁護士のクォン・ジョンロク(イ・ドンウク)。無駄にイケメンだけど一斉を風靡したユンソのこともまったく知らず岩石のように真面目なジョンロクと、世間知らずでチヤホヤされてきたユンソはまったくもって噛み合わないように思えたものの、次第にお互いの誠実な人柄が分かるようになって恋に落ちていく。そんなストーリーです。
至って王道な展開で、エピソードを重ねながらじっくり主人公ふたりの恋を楽しめる、妙に安心感のある作品でした。中盤でふたりは恋人になり、その展開がやや急な気はしましたが、後半は恋人として障害を乗り越えていく様子が描かれ、とてもラブラブなので本当に観ていてほっこりします。
イ・ドンウクとユ・インナの組み合わせは言わずもがな「トッケビ」の死神&サニーのカップル。その前提で観ている人も多そうなので、そういう意味ではもうこのふたりが幸せにしているだけでも最高なのかもしれません。
とはいえふたりのキャラクターはトッケビとはまったく違い、それがまた個人的にはとても良かったところ。ユンソは最初は高飛車な勘違い女優タイプか!?と思われますが、薬物使用の疑いをかけられ散々に批判を受け、もともと演技派でもないために女優としても誹謗中傷を受けるのが日常茶飯事だった彼女は実はしっかりと現実を受け入れる度量とたくさん傷ついた上で得た強さを兼ね備えた女性で、それでいて失わない純粋さが本当に可愛らしいのです。
一方のクォン弁護士は融通の効かなさが顔にも滲み出ているような感じですが、ユンソと恋愛関係になったらなったで愛情表現がたまにとんちんかんで(めちゃめちゃイケメンですが)ちょっとキモいくらいの瞬間もあるほど。先に観たばかりの「九尾狐伝」のカッコよさ極まる姿との対比が面白過ぎてこれはこれで癖になります。
この主役ふたりを中心に取り巻く人々もみな、とても優しい良い人たちなことに癒されます(ラスボス的な悪役もいるにはいますが)。「真心が届く」というのもタイトルとしては少々パンチが弱い気がしていましたが、そういった人々の善良さ、誠実さが丁寧に表現されていて、ラブコメですが軽くならず、じんわり滲みる良い仕上がりになっていると思いました。登場人物が素敵だなぁと思うとドラマはまた違う見え方がしてきます。最後になるともうオ・ユンソが可愛くて仕方なかったのが印象的。
エンディングはハッピーに満ち溢れて、韓国ドラマあるあるかもしれませんがラスト1話はボーナスステージみたいな感じなので幸せを噛み締められて気分よく観終わりました。自分の日常に向かう気持ちもちょっぴり上がる良いドラマです。