『Inverted Angel』に人生最大の衝撃を受けた【ゲーム感想】
タイトルの通りで、あまりにも素敵な作品と出会ってしまったのでもらった衝動と衝撃を形にしていこうと思います。人様に見せるような文章を書くのは初めてですが・・・・・・こんなところまで見にきてくれているみなさんは全員プレイ済みだと思いますし、ゲームの概要とかシステムの感想とかは全部省いちゃって各ルートの感想だけつらつら書いていこうかな。クリア順ってやつです
NOISEREDUCTION
バッドエンドなんですけど、私が一番最初に到達した終着点はこれだったのでこれだけ取り上げさせてください。『もう動けなくなる君』を違和感として取り上げてしまったばかりに生活の全てを彼女ちゃんに管理されることになっちゃうやつ。『輪郭を与える』とはどのようなことなのか、いんばね自体がどんな作品なのかを分かりやすく示しながら私をこの作品にグッと引き込んできたエンドでした。1つ目がこれで良かったと強く思います。
Chocolate Hideout
最初はチョコレート、導線的にも大体の人がそうなんじゃないかな。勧めた友人2人もチョコからでした。このルートそもそもの読後感が爽やかだし結局彼女ちゃんがちゃんと恋人だったってのが良いのは勿論、住民くんがしっかり彼女ちゃんと対話して、その結果として彼自身の気づきで真相に至ったというところが好きですね。自分で頭回して真実に辿り着ける主人公ってやっぱり素敵なので。
彼女ちゃんの思考回路、というか人間性はどのルートでもある程度一貫しているので、もしかしたらこのルートは終盤にやった方がワクワク感は高まるかもしれない。でも俺は1個目でも言葉は考えの〜って打ち込んでるときめちゃめちゃ興奮したし楽しかったです。このゲームの醍醐味を体現したようなルートだと思います。
余談。この感想はプレイ中に思ったことを書き殴ってたメモを見返しながら書いてるんですけど、そのメモに
『この物語特有のワードを調べられます←こんなの煮込みバウムクーヘンとかいう謎のお菓子一択すぎる』
って書き残してあって爆笑してます。それはほんとにそう。ミラウイルスについては、こんな真剣に作られてるゲームが流行り病を"例のアレ"だけで済ませるわけないだろ!っていう信頼があったので煮込みバウムの次くらいには調べてましたね。
Fool on the Sugar Board
チョコの直後にこれだったので、住民くんのギャップに混乱しながら進めていました。これもかなり読後感良いんだけどそれはそうと登場人物が全員イカれているんだよな・・・・・・このルートに関しては彼女ちゃんよりも恋人さんの方が構成要素としては強いし、彼女ちゃんは利用されたというか一貫して被害者なのである意味ではこのゲームらしくないルートかもしれませんね。
このルート、補題の"死んで治すほどでない馬鹿でありたい"があまりにもピッタリハマってて大好きなんですよね。あれだけ彼女ちゃんに真剣なお説教をされて、恋人さんにも嗜められた結果として住民くんからお出しされたであろう結論がこれなのが最高にしょうもない!悪人として断ずることができるほどではないけど反省の兆しが見られない、ある種カラッとしたこのルートの住民くんの人間性が全面に出ている素晴らしい補題です。エンドを見て、エンディングリストまで見に行って思わず気が抜けて笑ってしまう、そんなサブタイトル。あと全然関係ないけどアグリコラ出てきて手叩きました、あのゲームをサシで!?!?!?
Scarlet Icecream
作中屈指のグロエンド。彼女ちゃんが大家さんのスマホを持っている、という可能性に気づいてしまってからはビクビクしながら打ち込んでました。今回の彼女ちゃんやばいかも〜とか思ってたら住民くんの方が狂ってて、そういうパターンがあるんだ!と新鮮な気持ちでしたね。
このルート怖いんだけどもちろんそれだけではなくて、今回の彼女ちゃんは相手のことを十全に理解することはできないっていうどのルートの彼女ちゃんにも共通する思想をある種体現してるんですよね。大家さんのスマホを使ったメンヘラメッセージも驚かせるための演出ってだけではなくちゃんと幕引きに繋がるような伏線として機能していて、一見突拍子ないように見えて実は説得力の高い味わい深いエンドだと思います。他にも好きな食べ物は?って聞いてみたりとかしてたその辺も実は伏線になってたりとか。
朝焼けの後に続く言葉が、『分かりあったつもりになれるまで』なのがいいですよね。読み終わった後振り返るとこの時点での彼女ちゃんの失望がよく表れています。
Invailed Angel
歪みを放置して誤魔化そうとした優柔不断な主人公くんへのお仕置きエンド。こういうシステム干渉系のド派手なやつが1つあってもいいですよね。セーブデータあたり1回しか見られないのも特別感あって好きです。
Higher Girl Pudding
せっかく解答の機会があるんだからなんらか活路もあるんでしょうということでうんうん捻り出しました。捻ってる過程で因果律の強制的な調整とか、彼女はチューリングテストに失敗したとか、初め見た時は怖い!!としか思わなかった文言もちゃんと今からやることの説明とかヒントになってるんだなあと気づいたり。
ルート感想としては元恋人の2人が仲良くなれて良かったね〜〜っていうのと、やっぱり補題でオチが付いてるのが綺麗で好きです。女子力は自分のためにって、そういうなんか物理な感じなんだ。
Cheesecake Hallucination
いっちばん好きなルートです。なんかもう全部好きなんですけど、朝焼けもまだまだ来ない、から始まる真相究明のスタートを示す転換のセリフを住民くん側が言っているところがめっっっちゃカッコいいですよね。このルートの大元の始まりは彼の(異常なまでの)善性なので、詰めに進むためのワードを住民くん側が発するのが一貫してて良いです。その後に続く『現実的じゃない現実を探しに行こうよ』というキザで優しい言葉もこのルートの彼らしさに溢れています。
このルート、結局何が本当で何が嘘なのか何一つ分からないまま終わるのすごいですよね。ただのストーカーが弟が南極調査隊に選ばれたことを知っているわけはないので、"彼女ちゃんが未来からきた"という一点は真実なんじゃないのかという気持ちでいます。つまるところ彼女ちゃんは未来から来たストーカーなんじゃない?という。でもそもそもそれが本当であることを示す証拠はなんもないし、それが本当だとして彼女ちゃんの話はどこまでが真実なのかという疑問は残るわけですからね。生活水の汚染という一番重要な要素の真偽すらも闇の中、全ては幻覚のように・・・・・・
そんなCheesecake Hallucination、ラストのサッパリとした彼女ちゃんと住民くんの雰囲気や読了感と、実際残された疑念の多さによるじっとりと嫌な空気がなぜか綺麗に共存している技巧派エンディングでした。すごいぜ
Rusty Caramel Cage
通常最後です、ルートに入るための違和感になかなか気付けず時間がかかってしまいました。"みんな生活が人質みたい"という補題は、人は人との関係性の鎖から逃れられないという彼女ちゃんの主張の言い換えなのでしょうね。
最後の最後に与えられた選択肢から選ぶことを強制されてしまうという今まで自由記述だったことを逆手に取った演出や、このゲームの主題に改めて迫る彼女ちゃんの在り方を見ていると、このルートを通常の最後にプレイできたのは幸運だったのかなと思います。それはそうと彼女ちゃんは結構不憫だしなんだかんだで倫理観カスのお似合いカップルということになってしまう!!
Inverted Angel
彼女との夜を幾度となく繰り返した彼にだけ辿り着ける結末、そこに向かって進んでいく展開の盛り上がり方はさすがグランドルート。何を言っても蛇足になりそうなので本当に書きたいことだけ書くんですけど、"私"と彼女、ではなく彼と彼女の物語のままエンドロールを迎えられたことがこの上なく嬉しかったです。そういうこともできる土壌の整っていた本作品だからこそ、彼の努力と彼女の献身で色付く世界を見ることができて幸せでした。
まとめ
そんなわけでまーじで最高のゲームでした、Inverted Angel。創作物でこんなにも心がさまざまな方向へ揺さぶられるのは後にも先にもこの作品くらいなんじゃないかなってくらい。今後アプデでルートが追加される予定らしいのでわくわくが止まらないですね、サントラを聴きながらのんびり待ちたいと思います。
この感想を書いている間にゲームのDL数が20000を突破したらしいです。めでたい!!!作者様による記念掌編も、あのときの彼女ちゃんがどんな考えでそこに立っていたのか分かったり恋人さんの人となりがより深く知れたりで素晴らしかったですね。読了感もすっきり爽やかだった・・・・・・1ヶ月記念がチーズケーキで今回が砂糖盤なら、次はチョコとかプリンだったりするのでしょうか?それも楽しみになってきちゃいますね。
最後に、作者様に感謝を。本当に素敵な作品をありがとうございました、忘れられない体験になりました!!