迷走神経刺激と頭痛の関連
本日の内容は、いくつかのReviewを読んで、私がまとめたものの紹介になります。
***以下まとめ***
経皮的迷走神経刺激は以下の二つに大別される
transcutaneous auricular VNS(taVNS):耳介部を刺激
transcutaneous cervical VNS(tcVNS):前頸部を刺激
以前よりあった侵襲的な(手術を必要とする)VNSは、implanted VNSやinvasive VNSなどと表記され、iVNSと略す。侵襲性のない上記2つのVNSをnon-invasive VNSとし、nVNSと略される場合もある。
臨床上は効果が認められているが、その詳細な機序については明らかではない。現在言われている仮説などのまとめが以下の通り。
頭痛に対するVNSの作用機序
侵害受容の調整
神経伝達物質の調整
皮質拡延性抑制への影響
自律神経性作用
侵害受容の調整
基礎研究①:求心性迷走神経刺激により三叉神経・三叉神経視床ニューロンの反応を直接変化させる。
基礎研究②:VNSを24時間・2mA・20Hz・0.5msパルス幅・20/18秒でON/OFFとして刺激したところ、三叉神経領域に注入したホルマリン液の反応がsham刺激と比較して減少した。
基礎研究③:10Hz連続VNSは硬膜への電気刺激によって誘発される三叉神経反応を48%のニューロンで抑制した。しかし、VNSによって促進されるニューロン活動が29.5%、刺激に無反応のニューロンが22.5%存在した。
刺激強度や速度によって異なるタイプのニューロンの閾値があり、それらの影響でばらつくのか、もしくは下行性疼痛抑制系の関与などが示唆されている。
また中枢への影響を示唆する報告として、三叉神経-自律神経反射の活性化に対するnVNSでは、視床下部、海馬傍回などいくつかの中枢構造が著しく抑制される。
神経伝達物質の調整
δオピオイド受容体の活性化を介したオピオイドシステムの影響が示唆されている。(ここ詳しくない&苦手なので、めちゃくちゃ割愛、、、)
皮質拡延性抑制への影響
基礎実験が2つ有名そうなのがありましたので紹介。どちらも同じLABのもの(神業みたいな手技だと思います)
どちらの論文も、目的と結果がわかりやすくて、最高でした!
解剖の復習にもなりました!
知れば知るほど、奥が深い迷走神経の世界。
私たちの分野にも関わりが深い神経だと思いますが、わからないこともたくさん。
うつやてんかんに効果的なメカニズムについてもおおよそ同じと考えられていますが、iVNSは薬剤抵抗性てんかんには保険適応があり、もう少し色々な知見が収集されているのだと思います。
とりあえず、このnoteは一回ここまでにして、今度は疾患別にまとめてみようかしら…