異世界
こんにちは。
皆さんは異世界に行ったことはありますか?
僕はありません。あるわけね〜だろ。起きろや。
メイドカフェに行ったことはありますか?
僕はあります。ないわけね〜だろ。起きろや。
メイドカフェつっても、ミニスカメイドさんがミニライブしたり、萌え萌えオムライスのやつじゃなくて、クラシカルな衣装のキャストさんが粛々と接客してくれるやつです。
アニメでいうと、(解説ボキャブラリーがアニメしかないので)Re:ゼロから始める異世界生活のレムとラムじゃなくて、ハヤテのごとく!のマリアみたいなほう。
そういう店があるんですよ。東京に。
僕ね、高校生くらいの時にそこのキャストさんに一目惚れしたんです。お店のブログとかTwitter見て。
めちゃくちゃ行きたかったんですけど、当時そんなとこで遊ぶ金なんか無くて、行ける年齢になる頃には卒業しちゃってたんですよね。
そのキャストさんは卒業後は田舎に移り住んで農家?みたいなしながらたまに絵を描いたり自作の飯の写真をアップしたり、あと自撮りもたまにあげてくれたり。だから懲りずにフォローし続けてたんですけど。
ある日「1夜限りの限定出勤!」てな触れ込みで当時の店にカムバックするって告知が出まして。
行ったんすよ。人生初。キャピキャピしてないメイド喫茶。異世界だったんすよ。
オールナイト営業だったんで夜中の2時くらいに店着いて、店内はほぼ満員で、
お客さんの9割がノートパソコンをしてました。
マジでビビったすね。
残りの1割の人はルービックキューブをしていました。
マジでビビったすね。
雰囲気に完全に呑まれ、確かに1人分の席を与えられているのに異常に肩身が狭くなるのを感じながらビールを頼みました。
ヤニ吸ってちょっと落ち着いたところでパソコンをやってる人の画面をチラ見したんですけど、
Twitterやってたっすね。
店内の年齢層はやや高めで、30代〜40代の様々なオタクがハンドルネームでお互いを呼び合い、昔話に花を咲かせているようでした。
そこに混ざれない事が心の底から悔しかったです。俺もそれやりたかった。マジで。
「●●ちゃんが新人の時にさぁ〜」って話、したかった。お目当てのメイドさんに、みんな「あ〜▲▲さん来てくれたんですね〜!久しぶり〜!」って、言われたかった。
俺は話す昔話が無いし、高校生の時に見てて〜とかいうのもキモいから、ご飯美味しそうですよね😃とか店内オシャレですよね😊みたいなあたりもさわりもくだりも無い話をしてしまった。ビールが進む。塩味が効いている。効くぜ。
結局、居心地は良いのに心が店を出たがっているので1時間程度で店を出た。
ノートパソコンもルービックキューブも昔話も無い俺はせめてものイキりとしてキャスト全員にドリンクを入れた。千と千尋のアイツみたいだったと思う。喋らないし。心なしか乾杯をしに来るキャストの顔も千尋に見えた。
みんな言う。「やった事ない事はやった方がいい」とか、「新しい世界に飛び込んだほうがいい」とか、言う、けど、それなりにダメージは受ける。言うなればPUBGの安全サークルの外に出るようなもので、慣れるまではスリップダメージを貰い続ける。
メイドさんの笑顔と環境のダメージでヒットポイントがサウナみたいになり、心がどっと擦り減ってしまった。小学校の担任が美人みたいな感覚。昔の吉村家みたいな。
もう2度と行くつもりはないけど、もし次があるならノートパソコン持って行くことは覚えた。電池2時間くらいしか持たないけど。ど〜しよ。