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僕達は星だ。 - Me and you, we are the stars.

僕たちは星だ。

誰もが違う輪郭を持ちながら、ひとつに集まると夜空になった。繋がって、重なって、それでいてどこかバラバラだった。その曖昧さが、かえって心地よかった。完璧でなくていい。ただそこに存在するだけで十分だった。

「人生一度きり」。その言葉は、あの頃の僕たちにとって灯りだった。強くて、鮮やかで、僕たちをどこへでも連れて行ってくれそうだった。走れ、走れ、もっと速く。闇を切り裂くように明るく、確かで、進むべき道を教えてくれる光だった。やがて、その光は眩しくなりすぎて、ただ僕たちに前だけを向かせる追い風となった。足元には、見えない何かが広がっていたはずなのに。

もうその光がなくても大丈夫だと思えたのは、走らなくても星空が続いていると気づいた瞬間だった。止まっても、振り返っても、星は変わらずそこにあった。足元には無数の軌跡が刻まれていて、間違えた道も、引き返した跡も、どれもが乱雑な線を描いていた。僕たちは、知らず知らずのうちに自分たちだけの星座を作っていたのだ。

僕たちの流星は、あっという間に消えた。けれど、あれは「一度きり」なんかじゃなかった。星空には、無数の星がある。それぞれが違う光を放ち、違う場所で輝いている。そしてその中に、僕も、君もいる。それだけで十分だった。


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