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インクルーシブ・プレイグラウンド

“Incluive playground”と英語表記のノボリが秋風に揺れていた。広場には家族連れが集まり、子どもたちの笑い声が響いていた。新型の車椅子が並べられた体験ブースがあり、子どもたちは次々とそれに乗り込み、楽しそうに走り回っていた。車椅子の動きは軽やかで、サイバーなデザインがどこか近未来的。健常者の子どもたちとその親たちにとって車椅子は、どうやら「体験」するものだったらしい。

「インクルーシブ」って外国人も、クイアも、ホームレスだって含まれるだろうに、そのどれもが存在しなかった。この偏った風景はまるでよくできた舞台装置だ。私はその輪の中に足を踏み入れることなく再び歩き出した。背後で子どもたちとその家族の笑い声が響いていた。その音は、秋の冷たい風の中で少しだけ温かさを帯びているようだったが、私の耳には長く残らなかった。

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