イーロン・マスクの台湾への「合理的な」提案に思う
イーロン・マスク氏の、台湾問題に関する発言が話題になっていました。
その内容とは、台湾に特別行政区を設ければいいという提案でした。この発言は「台湾は中国による統治を一部受け入れるべきだ」という意味合いだと解釈され、台湾側は反発を、中国側は謝意を(外交筋による、SNS等での私的な発表レベルですが)それぞれ表明する事態になりました。
出典はこちらの、英フィナンシャル・タイムズのインタビュー記事。
日本語だと、日経に翻訳版がありました(登録が必要ですが無料で読めます)。原文はこんな感じ。
この数日前にもマスク氏は、ロシア・ウクライナ戦争に関しての「和平案」についてツイートし、その内容がロシア寄りであるとしてウクライナ側から強い反発を受けました。
そのほかマスク氏は、結果は同じなのだから無駄な血を流さないため、また核戦争という最悪の結末を回避するためにそうすべきだ、という発想からこの提案をした旨を続けてツイートしています。ここにも、「そうするほうが合理的だ」というような発想が見て取れます。
きょうはこの、マスク氏による「合理的」な提案について考えたことを書いてみたいと思います。
すぐに思い浮かぶツッコミ
まず、このマスク氏の「合理的」な発想自体に対するツッコミはすぐに浮かびます。それは、その「合理的」な選択は、きわめて近視眼的なものでしかなく、当時者からはとうてい受け入れられないだろう、ということです。
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