「中国人がマネージャー、日本人がプレーヤー」で起こりそうなこと

※本編は無料で読めます。おまけ部分だけ有料にしています。よろしければ。

その方法や体制に賛否はあれど、新型コロナ禍の抑え込みに一定程度成功し、その後の経済回復においても頭一つ抜けている中国。アフター・コロナの世界で、中国がさらに強いプレゼンスを持つようになることはほぼ間違いないように思われます。

そんな中、中国の資本や企業、カルチャーが日本に大量に進出してくる未来がくる、と仮定しましょう(実際にそうなるかどうかについては別に議論が必要かもしれませんが、ここでは割愛します)。すると、かつて日本企業がこぞって中国に進出した時とは逆に、「マネジメント層は中国人で、その下で日本人がプレーヤーとして働く」という構図が増えてくることになります。

個人的には、この構図自体は全体最適としてはそれほど悪くなく、むしろ適材適所ではないかと思っています。

中国人の多くはもともとマネージャー気質です。どちらかというと自分で手を動かすことを嫌い、いかに他人に動いてもらうかを考えることに一日の長があります。プレーヤーとしての経験は、さらに上にいくためのステップでしかないと考える人も多いです。それはとりもなおさず、自分の能力ではなく他人の能力をいかにレバレッジにするかという投資家的な物事の見方・進め方であり、多くの日本人が苦手とする部分でもあります。

対して、日本人はプレーヤー向きです。目の前のことに集中し、自らの技や知識を磨き上げることが得意。基礎教育の水準も高く、丁寧で細かいことにも気が付くことができる。問題を事前に発見して潰し、無用なコストを抑えることにも長けている。これらの特性はビジネスにおいては現場での強さとして発揮されるものであり、さらに言えば多くの中国人には備わっていない感覚です。

このように、ある意味まったく真逆の気質をを持つ二者が、それぞれの得意な部分を活かしてともに何かを作り上げていくことができれば、個々の発想からは生まれようのなかったより良いモノやサービスが生まれる余地は大きいと考えます。

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ただし、注意しておかなければならないのは、先のツイートでも挙げたような「カネの流れ道」に関する部分です。

乱暴に言ってしまえば、マネージメント側にはプレーヤー側を絞り取ること、搾取することにインセンティブがあります。これは中国人であろうが日本人であろうが変わりません。

しかしこの構図に従えば、プレーヤーとしての日本人は、下手をすればずっと搾取されっぱなしになっていくということです。加えて日本人は、これまで社会・経済が安定していて悪く言えば「なあなあ」でもやってこれた名残からか、プレーヤーとしての立場からモノ申すことが苦手な人が多いように見えます。

さらに、中国人は即物的な考え方が日本よりも強く、主張されない意見を汲み取るようなことはほとんどしてくれません。「言わなくてもこれだけ成果を出してれば、見ていてくれるだろう/わかってくれるだろう」ということは基本的に通用しません。泥臭くても、露骨に見えても、ある程度わかりやすい「アピール」をやっていかなければ、日本人はずっとモノ言わず労力を提供するだけの存在になってしまうかもしれません。

もしプレーヤーとしての強みを生かすのであれば、同時にプレーヤーとしての矜持を保ち、主張するべきところを主張するというスキルが求められてくるのではないかと思います。

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「中国人がマネージャー、日本人がプレーヤー」という環境で生まれるのは、異質なものが相互にぶつかりあって生まれるイノベーションあふれる未来でしょうか。それともただ日本人がその良いところだけを搾り取られ、貧弱になっていくだけの未来でしょうか。少なくとも、先のツイートに寄せられたこの意見のような未来にならないことを祈るばかりです。

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以下、もう一つ考えついた「中国が日本に進出してくるにあたって気をつけたほうがいいかもしれないこと」を書いたのですが、ちょっとアレな内容になってしまったので有料とします。個人の妄想だとご理解いただいた上で、興味のある方だけどうぞ。

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