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中国のECで急に始まった「0元注文」の謎

中国ではネットショッピング、とりわけアプリからの買い物がとても便利ですが、その中でももっともよく使われているのが、アリババの運営による淘宝tao baoです。

僕自身も淘宝を日常的に利用しているのですが、ここ最近買い物をしているときに「あれっ?」と思うことがありました。

というのも、商品を選んで決済に進もうとすると、「0元下单」(0元でご注文)というのが出てきたのです。

もちろん本当にタダで商品が手に入るわけではなく、商品を受け取って確認してから代金を支払う必要はあるのですが、少なくとも注文の時にはお金を払わなくてもよい、ということのようです。

しかし不可解なのは、注文の画面からこの「0元下单」以外が選べなくなっていることです。僕としてはどうせ先でも後でも一緒なので、先に払っておきたいのですが、そのためのボタンがどこにもありません。

なんでこんなことに? と思って設定を見直すと、自分ではオンにした覚えのない「先用后付」(先に使って後から支払い)というサービスのチェックボックスがオンになっていました。

原因はこれか、と思いながらチェックボックスを外し、また以前のように普通に買い物ができるようになりました。よく覚えていないけど、アプリを操作している時に不注意で設定を変えてしまったのかな、と自分の中で結論づけていました。

しかし後日、やっぱり気になって調べると、どうやら同じ現象に戸惑っている人がたくさんいるらしいことや、消費者の同意を経ずに勝手に設定を変えるのはおかしいのではないか、という批判が出ていることがわかりました。

どうやら僕のうっかりだけが原因というわけでもなさそうです。プラットフォーム側が多くの人にこの「0元注文」を無理にでも使わせようとしている流れが存在しているのは間違いありません。

そうなると疑問なのは「なぜそんな必要があるのか?」ということです。こんなことをすればユーザーが違和感を持ったり、批判が出ることもプラットフォーム側は予想はついただろうに、それでもこのサービスをデフォルトの設定にしたことには理由があるはずです。

というわけで、その理由について考えてみます。

思いついた理由は2つあります。

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