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「爆買い」しない中国人の気持ちを理解した話

日本から戻ってきました。

短い滞在期間、しかもやることは無数にあり、息つく暇はほとんどありませんでした。今度は家族を連れて、もっと余裕のある旅程で日本を楽しみたいな。

さて、海外在住者が日本に帰ってくる時の大きな目的の一つには、多くの場合「買い物」が含まれます。海外では手に入らないものを確保して居住国に持ち帰り、生活を豊かにしたり、日本人としての習慣を忘れないようにしたりするためです。

僕も一時帰国となれば、以前はここぞとばかりにモノを買い込んで中国に持ち帰っていました。多かったのはお菓子とかカップラーメンとかの食べ物です。普段は厳重にしまっておき、とっておきの時に食べたりしていました。他にも服とか100均のちょっとした雑貨とかで、日本を発つ時にはスーツケースがいっぱいになっていたものです。

ところが今回の一時帰国では、そういう感覚がなくなっていたんですね。

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まず、日本に向けて出発する前からその兆候はありました。というのも、滞在期間が短いので買い物にあまり時間を割けないと考えた僕は、事前にネット通販で目ぼしいものを実家に届けておこうとしたのですが、その時すでに「あれ、あんまり買うものがないなあ」という状況だったのです。

今時は日本のものであっても、たいていは同じものが中国のネット通販でも買えます。値段だけ見ればだいたい割高ですが、ハンドキャリーで持って帰ってくることを考えれば、コストはほぼ変わりません。

嫁にも何かほしいものがあったら教えてね、と言うのですが、嫁もその「ほしいもの」を淘宝tao bao(中国の大手ECサイト・アプリ)で探しています。淘宝に並んでいるということはつまり中国でも買えるということなので、突き詰めていくとやっぱり多くのものが「これなら中国で買ったほうがいいね」に落ち着きます。

結局、通販ではそれほど多くのものを注文することなく、「日本で出歩いている時にほしいもの、かつ安いものがあったら買って帰ろう」ということになりました。

しかし日本に着いてからも、「これを持って帰らねば!」という気持ちになかなかなりません。100均やらドラッグストアやらいろいろ回るのですが、ネットショッピングでものを吟味している時と同様、「これなら中国にもあるしなあ」とか、「わざわざ持って帰るほどでもないなあ」という気持ちが先立ち、なかなか手が伸びません。

最終的にたくさん買ったのは常備薬の類と、ユニクロの下着や肌着(中国のユニクロは高いんです)、免税と割引がきく百貨店の化粧品類(嫁へのおみやげ)、あとは子どものための日本語の絵本くらいでした。スーツケース自体はけっこう埋まりましたが、自分のための買い物はほとんどありません。

滞在中にとにかく「日本」を体内に取り込み、またそれを持ち帰るためにギリギリまでスーツケースを埋めることに躍起になっていた、以前の一時帰国とは大違いです。あれ、どうしてこうなったんだろう?と思いました。

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ただ単に僕の日本への執着が薄れているとか、カップラーメンやらお菓子やらをバクバク食べれるような年齢でもなくなったということもあるのですが、もっと根本的な原因は、日本と中国の消費の差が縮まったことでしょう。

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