中国の「大卒多すぎ問題」に思うこと

中国においては今、大卒者の就職難が大きな問題になっています。

年々増え続ける大学卒業者の数に対し、それを満足するための仕事の供給が全く足りていません。ひと昔前までは良い職を得るためには大学まで行けば何とかなる、ということを信じてみんな頑張れたのですが、コロナ禍による不況も手伝い、それがいよいよ難しくなっています。

いまや、大学院に行ったり海外に留学して箔をつけても、中国国内ではなかなか仕事が見つからない状況といいます。

ただ、これをただ単に「就職難」といえるかどうかは微妙ではあります。現実には学生のほうが仕事を選り好みする傾向が強く、よっぽどの高待遇でなければ就職したがらないという実態もあります。

新卒者はITや金融業界など、花形で儲かるとされる業界にこぞって就職しようとするため、人気のある業界の求人倍率は天井知らずで上がり続けているのに対し、その他の業界ではずっと人手不足が続いています。需給のミスマッチのようなことが起きているのが現状です。

しかし、だからといって学生に「高望みだ」「分をわきまえて、希望ではない職業でも頑張るべきだ」と言いつければいいのでしょうか。それも少し違うんじゃないか、とも個人的には思います。

というのも、もし本人が就職先に関して「そこそこ」で満足したくとも、それを許さない家族などの圧があったり、より激しい競争を求めるような社会的な合意があるように思うからです。

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