中国人のナメてはいけない「動員力」
中国にまつわる、すさまじい怪談を目にしました。
ぜひご自身の目で読んでほしいのですが、いちおう要約しておくとこんな感じです。
いやはや、圧巻です。小説が一本書けそうな内容です。
これ、いろんな側面から中国社会の理不尽さや特殊性を説明できるエピソードだと思うのですが、今回のマガジンでは中国における「動員力」の重要性や、その恐ろしさに的を絞って書いていきたいと思います。
+++++
このエピソードにおいては、住民を恐怖の底に陥れた黒幕が存在していることが想定できます。その黒幕が事件の過程で、自分の都合で動かしてみせた人間は、少なくともこれだけいます。
これだけの人間が、ある特定の人物(もしくは団体)の利益と支配構造の維持のために動かされているのです。もちろん、ひとりの人物がすべての登場人物を直接動かしたわけではなく、中には間接的なものも含まれるのでしょうが、それにしてもとんでもない影響力です。いま日本で話題になっている土佐市の移住者カフェの話に出てきた、ケチな「地元の有力者」とはスケールが違います。
こうした力量は恐ろしいものですし、あまりにも前近代的と言わざるを得ませんが、しかしてこうした「動員力」の論理で動いているところが、中国の社会には多かれ少なかれあります。
このエピソードは「10数年前の話」であり、いまではヤクザなどが登場するようなことはかなり少なくなっているとは思います。特に習近平政権は反社会勢力の撲滅キャンペーンも熱心にやっているので、庶民が暴力によって理不尽な目に遭うことは減っているでしょう。それは習政権の人気の理由の一つかもしれません。
しかし、逆に言えばほんの10数年前にはこういうことが珍しくはなかった程度には、中国はこうした「動員」をかけられるものがすべてを思いのままにするというロジックが息づいています。
+++++
なぜ「動員力」が中国人にとって重要なのか。それは「面子」との関連で語ることができます。
ここから先は
いただいたサポートは貴重な日本円収入として、日本経済に還元する所存です。