ジャック・マー、中国における「強くなりすぎた個人」の話
こんなことがニュースになっているのをご存知でしょうか。
中国のIT最大手のひとつであるアリババグループの創業者であるジャック・マー(馬雲)氏が、中国に帰国したという話です。
なぜ中国人が中国に帰国したことがわざわざニュースになるのかというと、ジャック・マー氏はこれまで金融当局から目をつけられて危険な立場にあり、身の安全のために国外で長期間生活している、という話があったからです。その滞在先には日本も含まれており、ジャック・マーが日本にいるらしいということが話題になったこともありました。
なぜ金融当局から目をつけられていたのかについては、アリババの金融事業に対して当局からの規制が強まっており、マー氏がそれに対する批判をおこなっていたからだとされています。
マー氏は2020年の10月に金融当局の要人も出席する会合で、「政府の規制が金融改革の足を引っ張っている」などと発言したそうです。そして直後の11月、同社の金融部門であるアント・グループの上場の延期が突如として決定されたことから、マー氏が政府筋の大きな怒りを買ったのではないかという話が囁かれるようになりました。
そこからもアリババへの締め付けと見られる動き(独占禁止法違反による罰金など)が見られるたび、マー氏と政府筋の関係悪化によるものではないかという話が聞かれました。それを裏付けるかのように、マー氏は表舞台にあまり姿を見せなくなり、気がつけば「日本にいるらしい」「いやタイらしいぞ」などという話が飛び交うようになっていました。
そういった状況での氏の突然の帰国は、株式の整理によるマー氏の議決権の減少や、組織再編によってアリババグループが6つの会社に分かれることが発表されたタイミングと重なっていたことから、当局による締め付けが氏への締め付けが落ち着き、身の安全を確保できるようになったことで帰国が実現したのだ、などというストーリーで語られています。つまりマー氏の帰国は、氏およびアリババグループと政府筋の「手打ち」が成立したサインだと見られているのです。
以下、このことについて思うところを述べてみたいと思います。
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