半裸中年男性が嫌悪される日本、そして北京ビキニの中国
こんなニュースがTwitterのTLに流れてきました。
ある女性が洗濯物を干していると、ちょうど同じ高さにある向かいのマンションの屋上で中年男性が半裸で寝そべっており、娘ともども不快な思いをしている。それに対する弁護士の見解はどんなものか、という主旨の記事と読みました。弁護士の意見は「旦那さんなど男性から指摘してもらいましょう」「弁護士などの第三者を通じて、屋上に出る時間を調整してもらうなどお互いの着地点を見つけましょう」という、薬にも毒にもならないものでした。
いやー、しかし日本では全裸中年男性はいざ知らず、半裸中年男性にまで当たりが厳しい世の中になってきているのですね。そのうち着衣中年男性にも嫌悪の目が向かうようになり、中年男性はもうアーマードトルーパーなどで武装しないと外を歩けなくなるような時代になるんじゃないでしょうか。在外中年男性としては、日本に戻って街を歩くのが怖くなるようなニュースです。
僕のTLではこのニュースに対して「さすがにクレームをつけるのは行き過ぎ」「そもそも本当かこれ? 弁護士の営業じゃないの」と否定的な人が多かったように見えましたが、日本において「不快なもの」に対する受容の閾値が下がっていること自体はある程度事実なのでしょう。
たまにYouTubeで日本の映像ニュースなんかをみていても、「昔だったらこんなやつ、いっぱいいたけどなあ」と思うような小さな迷惑人間(煽り運転とか)が取り上げられていたりなんかして、世の中の変化を感じます。世の中が「快適」になるのは暮らしやすくなること、良きことでもあるのでしょうが、そうやって排除する項目を再現なく増やして、いつかその排除の矛先が自分や家族に向いた時にはどうするんでしょうかねえ、という気持ちにもなります。
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ところで、半裸中年男性といえば中国です。
夏場の暑い時になると、上裸でそのへんをほっつき歩く中年男性はそこかしこにみられます。僕の住んでいる広東省ではちょうど今頃の時期、上裸おじさんがたくさん増えてきます。公園でジョギングや体操をしているおじさんのうち、体感では15%くらいが上裸に見えます。
普通の光景なので、別に誰もそれに文句を言ったりはしません。そりゃあ不快に思っている人もいるでしょうし、僕自身ももちろん積極的に見たいとは思わないですが、だからといってやめろとも思いません。現状、半裸中年男性に対する許容度は中国の方が高いと言えそうです。
また、「中国 半裸 中年男性」というキーワードで思い出さずにいられないのが、いわゆる「北京ビキニ」の存在です。
北京ビキニとは、中国語では「膀爺」とも呼ばれており、Tシャツやタンクトップを胸の部分までたくし上げて腹を露出するスタイルのことです。「北京ビキニ」という名称の出どころは定かではありませんが、おそらく中国外のメディアが発祥なのではないかということです。どんなものかイメージしにくい方はこちらの記事をご覧ください。
この北京ビキニが街中で見られるようになると、「ああ、今年も夏が来たのだなあ」と感じます。まるで夏の風物詩のような存在と言えるでしょう。自分でやりたいとは思いませんが(でもジョギングとかで汗だくになるとたまにやってみたい衝動に駆られる時は正直ある)。
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しかしそんな北京ビキニも、中国では「非文明的な行為」として敬遠されるようになってきており、条例によって罰金を課す都市などもあるようです。
この記事によると済南市、天津市、瀋陽市などで、上半身裸で街を歩く行為に対して指導・警告、改善を拒んだ場合は罰金刑が課されるようになった、とあります。試しに天津市の「文明行為促進条例」を確認すると、確かに第55条のところにそのような記述がありました(「赤膊」という言葉はWikipedia中国語版によると、主に男性が上半身裸になることを指すようです)。
実際にはどこまでを裸と判定するかなどの基準を設けるのは難しいでしょうし、何せ数が多いので実際に罰金を課される人というのは少なく、実効性はあまりないのでしょうが、ともあれ中国でも排除に向かう動きが多少あるのは間違いないようです。
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結局、日本にいても中国にいても半裸中年男性への風当たりは厳しい、もしくはこれからも厳しくなりそう、ということのようです。
全世界の中年男性の皆さん、大人しく服を来て過ごしましょう。