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中国人は「ゼロコロナへの不満が爆発寸前」なのか?

中国における厳しいゼロコロナ政策が数々の困難を招いているということは、おそらくみなさんご存知の通りです。そんな中で、日本の報道を見ていると目立つのは「住民が不満を抱えている」とか「住民の不満は爆発寸前」というような、「住民の不満」を強調するような文言です。

僕自身、ますます厳しくなる……というより、「対策のための対策」が目立つようになってきた今の中国の防疫体制には辟易する部分もあります。また、周囲の中国人の反応を見ても、前ほど手放しにいまの状態を褒め称えるようなことは減ってきたかもしれません。

しかし、先述した報道などに見られる「住民の不満」という言い方には、微妙に違和感があります。どうも「住民の不満」の解像度が低いというか、何か誤解があるような気がしてならないのです。

ということで今日のnoteでは、日本の報道だけを見ていると誤解しそうな「中国人が、ゼロコロナの続く現状において抱えている不満」について、3項目に分けて述べてみたいと思います。

①:それでもほとんどの人には関係がない

封鎖が長引く(最近ようやく光明が見えてきた?)上海や、逆にいままさに厳しい封鎖が始まっている北京など、大都市であり日本人も多いところは報道になりやすく、その惨状や「ヤバさ」についても知る機会が多いということはあると思います。また、実際に影響を受けているそれらの土地の人々が、不満を溜めながら生活しているというのはある程度は事実かと思います。

しかし、中国は広大です。また、日本人の多い地域ばかりでもありません。そのほか多くの土地については、少なくとも生活面に関しては大きな影響はないところの方が多いのです。そういったところに住む人々は、他省に出るのがちょっと面倒になったぐらいで、基本的にはごく普通に暮らしています。

上海の現状を見て、「明日は我が身」となっているのはおそらく、各地の行政側だけです。なんせ感染が拡大したら中央の評価がどうなるやらわかりませんから、必死になって厳しい対策を打とうとするでしょう。

しかし住民側にしてみれば、別に生活は大きく変わっていませんし、上海や北京の厳しい封鎖下での生活にリアリティを感じられるかといえば、おそらくそうではないでしょう。そうでなくても、中国の人々は後々に起こるかもしれない問題に感じる閾値が低いのです(いい悪いではなく)

そんなわけで、「不満を溜めている」住民は実際に封鎖を経験したごく一部の人であり、まだ多くの人、あるいはほとんどの人は特に何の不満もなく、また将来に対して大きな不安もなく過ごしているように思います。

②:不満の対象は中央や政策自体ではない

もう一つ重要なこととして、日本の報道などでは住民がまるで「ゼロコロナの政策方針自体」に不満を抱えているような書かれ方をしていることがありますが、それは違うと感じています。仮に中国の人々が不満を抱えているのが本当だったとしても、その矛先は別のところに向いています。

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