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死のふちを生きのびた中国人女性の話と、SNSはしょせん狭く小さな世界だという話
こんな中国語のエントリがnoteに投稿されました。中国語がわかる方はぜひ一読をおすすめします。
タイトルは「あるうつ病患者の20日間」。投稿者は曾穎という中国人の女性です。
彼女は日本在住、かつアパレルブランドや広告代理店会社を経営しており、かつては米フォーブス誌に「30歳以下の優れた中国人経営者」として選出されるなど、やり手の経営者のようです。
僕自身、そのような経営者としての彼女の活動をよく知っていたわけではありません。しかし、それとは別のところで彼女に関わる出来事が先日起きており、たまたまその名前を知っていました。
その出来事は、安倍晋三元首相の銃撃事件に関係しています。
彼女は経営者としての顔とは別に、「澎拜新聞」という中国メディアのキャスター・レポーターとして、日本での出来事を伝える活動もしていました。そして、安倍元首相の事件を伝えるネットの生放送に出演した際、彼女は涙ぐむ様子を見せ、また安倍元首相の功績に感謝する旨の内容を述べました。
そのことが中国の一部のネット民の感情に火をつけ、彼女のもとには無数の誹謗中傷、罵詈雑言が届けられるようになりました。彼女は微博(Weibo、Twitterに似たマイクロブログ型SNS)に約250万人のフォロワーを抱えていたこともあり、その数は膨大なものになったようです。
もともと心理的な不調を抱えていた彼女は、これにより心身のバランスを大きく崩し、ついには自殺を図りました。
冒頭のnoteエントリには、追い詰められ自殺を決意するにいたるまでの過程と、そこから一命を取り留め、昏睡状態から目覚めた直後の記録、彼女を救うために動いた人々への感謝、そして彼女を追い詰めたネット民たちへの雑感が、静かに綴られています。
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noteとは別に、彼女はTwitterにこんなことを投稿しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1662276871937-AxbCKFEIv8.png)
微博で社会的な死を迎えるほど追い詰められた私が、Twitterで人としての尊厳を感じられたなんて、まるで信じられない。ましてや、私が生きることを望んでくれている人がいるなんて。それも一人じゃなくて、たくさん、たくさんいてくれたなんて。本当に美しいものを持っているのは私じゃなくて、たくさんの名前も知らないあなたたちです。ネットの暴力が私を泣かせることはなくても、もう手に入らないと思っていたこの温もりには、涙が溢れて止まりません。みんな、ありがとう。
冒頭のnoteによれば、彼女の微博のアカウントにはいまも毎日、大量の誹謗中傷メッセージが届いているようです。それこそ以前の彼女を追い詰め、自ら命を絶つという、最悪の選択をさせてしまったものです。
いっぽうで、彼女がnoteを発表し、そこからTwitterを経由して寄せられたメッセージは、彼女の心を救うのに十分なものだったようです。
これを見て僕は、SNSで起こることなどしょせん狭い世界のことなのだな、ということを再確認したような気持ちになりました。
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