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なぜ中国人はないものを「ある」というのか
こんなツイートを見ました。
【お詫び】
— 旗袍専門店 Qpao🇭🇰王家衛シリーズ販売中 (@Qpao_theshop) September 17, 2022
毎度ご愛顧頂きありがとうございます。こちらの商品をお求めのお客様にお詫びとお知らせです。
中国側より在庫があると回答があったにも関わらず、実際には在庫はなく、発送トラブルが発生しております。別の方法で手配をしておりますので、もうしばらくお待ち下さい。申し訳ございません。 pic.twitter.com/kHwELrSmPm
最近新しく立ち上がった、おもに旗袍(チャイナドレス)を中国から買いつけて日本に販売するQpaoというサービスによる、お詫びの文章です。
中国側の工場なりセラーなりに商品の在庫を確認し、確保したうえで売り出したつもりが、いざ注文が入って連絡したら「在庫? そんなものないよ」と言われてしまったようです。おまえは関羽か。もしくはトニオ・トラサルディーか。
って、ネタにしてはいけませんね。どうかトラブルを乗り切れますよう、応援しています。
フェイクレザーをめぐるドタバタ
さて、このような「先方が「ある」と言っていたものが、いざ連絡したり注文するとしれっと「ない」と言われる」というのは、あまりにも中国あるあるというか、中国人と現物のやりとりがともなう商売をすると、ほぼ必ず出くわす光景です。誰もが通る道、といっていいでしょう。僕自身も、これで何度も痛い目を見てきました。
なかでも印象深いのは、こんなエピソードです。
雑貨工場兼商社みたいなところに勤めていて、とあるフェイクレザー製のアパレル品(財布やキーケースなど、革製の小物のようなものを想像してください)の製造に関わった時のことです。
工場の作った製品サンプルに使われていたレザーの色や質感が素晴らしく、販売のお客さんにも感動してもらえるほどいいものだったのですが、いざこれで量産しよう! とGOがかかったと同時に、そのレザーで製品を量産するための在庫がまったくないということが発覚したのです。
サンプル製造先の工場にどういうことかと詰め寄ると、「いや、レザーの卸売業者はたくさん在庫があるから心配ないって言ってたんだ」との回答。自社の在庫じゃなかったのかよ、それならちゃんと在庫があるのかどうか確認しとけよ、いやでも確認しようとしてもウソを言われたから仕方がないのか……などといろいろ思いましたが、ともあれ今更気づいても後の祭りです。
しかし、お客さんにサンプルのOKをもらっている以上、どうにかしなければなりません。そこで僕は、その工場の責任者と一緒にレザーの卸売市場に出かけて、なんとか同じ色・質感のものを探そうと、隅から隅まで駆け回りました(ちなみにその卸売市場は、ちょっとした街くらいの規模があります)。
足を棒にして卸売店を回ること数十件、ようやくOKサンプルにそっくりのレザーを見つけ、在庫は大丈夫かと再三にわたって確認。工場責任者に必要分の注文をさせて、一件落着……かと思いきや、結局またその店も後になってから突然在庫がないと言いだしたそうなのです。
その旨の電話を工場責任者から受けた時(彼も泣きそうな声でした)には、怒りと脱力感でぶっ倒れそうになりました。ここでもかよ。あの時何度も聞いて確認したのは一体なんだったんだよ。
また探し直しをするも、同じものは見つかりません。結局、完璧ではないがまあ似ているかな……? というレベルのものを確保し、お客さんに平身低頭謝りながら「今回はこれで行かせてください」と懇願しました。
ヒヤヒヤしながらのお願いでしたが、お客さん自身も中国からの仕入れで苦労した経験があり、理解を示してくれたので、なんとか事なきを得ました。「そういうもんだよね」と電話で優しく言ってくれた、お客さんの声が忘れられません。
ともあれ、あるある過ぎて逆にそれが許されてしまう程度には、この「在庫がないのにあると言っちゃう」現象は、中国において普遍的なことのようです。
なぜこうなるのか?
なぜ、中国ではこのようなことが起きるでしょうか。
「中国人はいいかげんだから」で終わらせてしまえば話は簡単ですが、それではさすがに解像度が荒過ぎるし、それだけはない部分もあるように思います。
以下、この現象がなぜ起こるのかについて自分なりに考察してみます。
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