香港と中国、互いへの蔑視とコンプレックス
いま、中国のネットで大きく話題になっている事件があります。
キャセイパシフィック航空といえば、香港を拠点にする大手航空会社です。僕も先日の一時帰国の時に利用しました。
そのキャセイの乗務員が、ある乗客の英語力をからかうような発言をした音声がネット上に流出し、瞬く間に大炎上しました。
またこれとは別に、入国カードについての質問を英語で行おうとした乗客に不適切な対応をしたり、シートベルト着用サインが出ているにも関わらず立ち歩こうとした乗客について、従業員どうしが広東語で「あの人たちは人の言葉がわからないんだよ」と陰口をきいていた、などという話があります。
ネットでの炎上と抗議を受けてキャセイ側は謝罪声明を出し、当該従業員の解雇を発表したうえで、再発防止に努めるとしています。しかし、いまこれを書いている時点では、中国ネットはこの件で燃え続けています。
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断定はできませんが、状況から見て乗務員のほうは香港人あるいはそこにルーツを持つ人物で、彼らが蔑視したという乗客は大陸中国の人々でしょう。この事件はそうした前提で炎上していますし、キャセイ側がある程度事実関係を認めていることからも、この件には「香港人による中国(大陸)人への差別」という構造があることは疑いようがありません。
この件が大きくなった背景には、大陸中国と香港の間の複雑な感情があるように思います。
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