中国のコロナ統計をめぐるレトリックに思うこと
新型コロナウイルスの感染者が激増する中国において、こんなことが問題になり始めています。
感染拡大が始まってから発表される死亡者数が、あまりにも少ないのではないかという話です。
実際に数字で見てみましょう。中国においてここ1ヶ月で発表された死亡者数を、Google検索で見られるOur World in Dataのデータをもとに見ると、たった10人程度しかいません。
厳しい措置を解除して以降、とんでもない勢いで感染が広がっているにもかかわらず、あまりにも不自然な数字です。他国の状況を鑑みても、こんなに少ないはずがありません。
なぜこうなるのかというと、中国は他国とは違う基準でコロナの死者数を統計しているということのようです。BBCの記事によると、中国ではウイルスによって呼吸器にダメージがあったもののみをウイルスによる死者だとカウントしている、ということです。これはWHOが提示している基準(例年と比べた場合の超過死亡数によるカウント)と大きく乖離します。
またジャーナリストの王志安さんは自身のYouTubeの動画で、直近で国務院からコロナの死亡例の分類に関する通知が出されており、それ以降各地でのコロナとしての死亡例の判定が大幅に厳しくなった(ほとんどがコロナによる死者としてカウントされなくなった)可能性を指摘しています。
「感染による死者を隠している」とまでは言い切れないのかもしれませんが、状況から見て、レトリックによってコロナによる死者の数を極端に少なく見せようとするための「大いなる意志」が働いていることは間違いないでしょう。
そうした数字とは裏腹に、実際の現場では問題が起き始めています。病院の発熱外来は混雑が続いていますし、陽性者の増加で医療体制にも影響が出始めています。さらには死亡者が増え、火葬場がパンクしてしまっているなどという話も聞かれ始めています。
それらの現状は中国の報道などでは大きく扱われませんが、国外のメディアやSNSなどでは病院で死亡者の乗ったベッドが廊下に放置されている様子や、火葬場までに車が列をなしている状態などの映像が出回り始めています。
今日はこの件についての所感です。
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