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子育てとなれば超・繊細な中国人

中国に戻ってきて、子育て生活の再開です。

大きな変化としては、お手伝いさん(月嫂)の契約期間が終わっていなくなりました。そのぶん僕が育児活動に参加する時間が増え、いろいろと学ぶ日々です。思い通りにいかないことばかりですが、楽しく過ごしています。「子どもの顔を見たら疲れが吹っ飛ぶ」みたいなの、本当にあるんですね。

さて、今日はそんな生活の中で感じた話を。

子どもの安全に超センシティブ

中国の人々、子育てとなるともうめちゃくちゃこだわるし、いろんなことに細やかな気遣いを見せるんですね。

象徴的なのは、ミルクに関するあれこれです。

まず、母乳信仰がすごい。日本でも母乳信仰の祖父母世代と、粉ミルクを適宜活用すべきという現役世代との間で対立をよく聞きますが、いまのところ我が家では粉ミルクは健康に悪いので極力(本当に極力)飲ませたくない義母と嫁と、しょうがないじゃん粉ミルクでいいからさっさと飲ませようよ、というスタンスの僕という対立構図が出来上がっています。

さっきも子どもが寝ないのと、嫁が仮眠を取ろうとしていたので粉ミルクを作ってあげようとすると、「お腹を壊したらどうするの!」と飛び起きてきた嫁に制止されました。いや、こっちはあなたを寝かせようと思ってやってるんですが……。

やむを得ず粉ミルクを使う時も、その手つきは繊細そのものです。まず、ミルクを作る時に入れる水(お湯)の量。理科の実験かというくらいに哺乳瓶の目盛りを見つめ、正確に水量を測ろうとします。料理の時に計量カップを使ったこともない嫁がここまでするのかと、けっこう衝撃でした。義母も同じようにしているし、粉ミルク自体の量もきっちりすり切り一杯になるまで、何度もやり直しています。

あと、哺乳瓶の熱湯消毒を、ミルクを「飲む前」と「飲んだ後」に必ずやるようにと厳命されています。飲んだ後だけでいいのでは? という僕の意見に、義母と嫁は「もし前に使った時に消毒を忘れていたら大変だから」と答えます。僕は以前、中国の人々は「未来に起こり得る問題への感度が弱い」というようなnoteを書いたことがあるのですが、こういう先回り・バックアップ的な発想が中国の人から出てくることがあるのかと驚きました。

ミルク以外にも、子どもを風に当てないように1秒でも扇風機の前を通るのを嫌がったり、検査で外に出るとなると紫外線と風を防ぐためにタオルでぐるぐる巻きにしたり(暑いのでやめさせましたが)、どれが合うかわからないからとおむつを何種類も買ってきたり(時間帯で使い分けたりしてる)……と、そこまでする? というようなことのオンパレードです。

日本人と中国人のどちらが細やかな気遣いをするかと聞かれれば、おそらく多くの人(中国人自身も)が、日本人だと答えるでしょう。しかし、こと子どもの健康や安全にまつわることに関しては、おそらく中国の人々のほうが何倍も感度が上です。うちの家族が特別に敏感な可能性もありますが、同じような話は他の日中夫婦からも伝え聞くので、だいたい似たようなもんじゃないかともいます。

上がりすぎているハードル

中国人のイメージの大幅な更新を迫られながら、なるほど子どもを守るためにはこれくらいの発想でことに臨む意識が必要かもね、と学んでいます。さすが生命に関することへの執着は、中国人には敵いません。

……ただ、そうして感心しながらも、こういう繊細さは中国という国にとって、とてもよくないことを同時にもたらしているよな、と考えています。

それはつまり、「これじゃ子どもが増えるわけがない」ということです。

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