見出し画像

中国で電話番号契約したら借金取りから大量の電話が来た話、とその解決法

今年の初め頃、iPhone12(中国大陸版)を買ったばかりの時のことです。日本にはない物理デュアルSIM仕様(SIMカードが2枚挿せる)にテンションが上がっていた僕は、SIMカードを新しく契約することにしました。

中国の某通信キャリアのショップに嫁と共に向かい、パスポートの提出だの顔写真の撮影だの誓約書だの、ややこしい手続きをこなします。中国では電話契約が実名制と結びついており、電話番号の取得にも一苦労です。1時間くらいかけてようやく契約完了。晴れてSIMカードを手に入れ、新しいiPhoneに差し込んで意気揚々と家に帰りました。

ところが使い始めると、ある問題が起きました。そのSIMカードを使い始めてからというもの、借金の督促の電話やSMSが大量に届くようになったのです。どうやらこの電話番号を前に使っていた人物が方々から金を借りまくっていたらしく、その使いまわしをつかまされたようです。

知らない番号からの電話を受けるたびに厳ついオッサンの声で「你是〇〇吗?」と、前に使っていたと思しき人物の名前が呼ばれます。その度に「それは前にこの番号を使っていた人で、僕は関係ない」と言って、おおそうかとわかってくれる人もいれば、「嘘つけ!」と激昂する人もいます。なんで僕がこんな思いしなきゃいけないの。

SMSの方にも、「〇〇元の返済期日が過ぎています。裁判の準備があります」みたいなメッセージが何通も届きます。最初は不謹慎にも面白がりながら見ていたのですが、あまりに数が多いとこれにもウンザリします。

この状況に怒ったのは、僕よりもむしろ嫁でした。好悪心hao e xinという悪口としてはかなり強めの言葉とともに、こんなカードをつかませた某キャリアに対する憤りを述べる嫁。そして「私に任せろ」と言わんばかりに、カードの契約解除をすべく動き始めました。

ところが、これがなかなかうまくいきません。キャリアのアプリから手続きを進めても、途中で弾かれてしまう。電話による自動受付サービスでも同様です。それならばと直接オペレーターに電話相談しても、やれ契約時の規約ガーとかなんとか言われて、ろくに話を聞いてもらえません。

番号自体の解除は無理でも、せめてその時に契約した80元くらいのプランをもっと金額の小さいプランに変更できないのかと迫るも、グチャグチャと言い訳をされて最後には結局「〇〇の都合でできません」と言われるばかり。

ますます怒りを募らせる嫁。もう疲れるばっかりだし諦めたほうが……と諭す僕。「あなたのためにやってるのになんでそんなこと言うの!」と怒りの矛先を僕に向ける嫁。なんだその言い方は! と反発する僕。地獄のような光景。

何度も日を改めてチャレンジするものの、契約解除ができない時間はそれから続きました。その間、我が夫婦の険悪な空気も継続します。誰かもわからない借金まみれのオッサンと通信キャリアのクソ対応のせいで、なんで僕らが消耗しなきゃいけないのか。たいへん不愉快でした。

+++++

実名制で厳しく番号を管理している割には、それを活用する市井の人々の管理が割と適当で、前に同じ番号を使っていた人の情報が流れてきてしまう……ということが中国では割と起こります。ここまでひどくなくとも、中国に暮らしたことのある人なら全く身に覚えのない会員サービスや、銀行引き落としの履歴などがSMSで届いたことに心当たりがあるでしょう。

なんつうか、監視社会で厳しいと言われる中国も、国から民衆はともかく民衆同士ではまだまだいろいろガバガバだなあと思わされるような出来事でした。

+++++

……ちなみに、この事態は一応の解決を見ました。カードの契約自体を切ることはできなかったものの、最終的に最低料金プランに切り替えることはできました。今では、そのカードは家の光回線契約のためだけに使うものとして活用しています。

では、我々夫婦はどうやってそれを勝ち取ったのでしょうか。その意外な方法をおまけとして置いておくので、興味のある方はご覧ください。

ここから先は

872字 / 1画像
この記事のみ ¥ 100

いただいたサポートは貴重な日本円収入として、日本経済に還元する所存です。