中国人はなぜ笑顔を見せないのか
こんなツイートが流れてきました。
動画では、とあるブロガー(Vloger?)が長距離列車の中で出会った男性とのやり取りが記録されています。
ブロガーは、ある男性がずっと大根を生でかじりながら列車に乗っているのを見かけます。ブロガーが声をかけると、男性はブロガーにも大根を分けてくれようとします。いっぽうで、大根しか食べていないのを見かねてブロガーがお弁当をおごろうとすると、男性は「腹は減っていない」と断り、お金を払おうとまでします(最終的には受け取りましたが)。
その後ブロガーが「仕事?それとも旅行?」と聞くと、男性はなんと「10年間未払いにされている給料について交渉に行く」といいます。電話などもつながらず、直接訪ねるしかないと思い行動を起こした、ということのようです。男性は、「自分は弱すぎるんだ。向こうの老板(経営者、責任者)は、訴えれるもんなら訴えてみろと言ったよ」とこぼします。
ツイートには、男性への同情や共感を示す中国語のコメントがいくつもついていました。
なぜ彼が搾取されるのか
僕も男性に同情する者の一人ですが、いっぽうで多くの反応とは少し違う部分に目が行きました。それは、この男性がなぜこのような憂き目にあってしまったのかということです。
男性の振る舞いは毅然としていて、かつ非常に流暢な普通話(標準語)です。あくまで一般的なケースですが、中国においてこうしたひどい搾取の憂き目に遭うのは、よい教育を受けられず、右も左もわからずに労働をさせられている地方出身者が中心です。年配者であれば、普通話もそれほど上手でないのが一般的です。
しかし、この男性の振る舞いや言葉はそういった人のものではないように見えます。理不尽に気づき、立ち向かうだけの能力や知性を持っているように思えます。
にも関わらず、男性が10年の給料の不払い(10年間ゼロということはさすがにないと思うので、累積した不払いの清算という意味だとは思うのですが)というあまりにもな仕打ちを受けてしまったのはなぜなのか。
そう考えた時に、僕は動画の中でこの男性が見せる、朗らかで柔和な笑顔の中に、その原因を見たような気がしました。
笑顔が搾取される原因になるとは、どういうことでしょうか。
笑顔は付け入られる隙
一般論として、中国の人々は日本人に比べてあまり笑顔を見せません。日本語でその差異について説明するものには、「中国人は日本人のように愛想笑いをしない、本当に笑いたい時にだけ笑う」というロジックに基づいたものが目立ちます。
それも一つの側面だとは思いますが、僕はそれだけではないと思っています。
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