僕たちは、50年前にすら戻れない
白饅頭さんが、少子化の原因に関するそれ以上いけない記事を書いていました。
白饅頭さんは、少子化の真の原因とは人類の「文明化」にこそあるのではないかと説きます。
便利で清潔で快適な、「死」が身近にない世界を文明によって作り上げていることこそが、人々の生殖の動機を失わせ、むしろ自分たち自身を滅びに追いやっているという絶望的なパラドックスのお話です。
そして白饅頭さんは、もしこのロジックが当たっているとして、では人類は文明を逆行させることができるのかと投げかけます。
すなわち不便で不潔で不快な、「死」が身近にあるような世界に回帰してでも出生率を向上させ、生き残ることは可能なのだろうか、そんなことにもう多くの人類は同意できないのではないか、という問いです。
種としての人間の根幹を問う、大事なテーマであるように思いました。
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僕自身の感想は、「まあ、無理だよな」というものです。
人類の滅びを前にして、それでいいのかという思いもありつつ、やはり不便で不潔で不快な世界に戻りたいとはどうしても思えない、絶対に戻りたくないという感情も、素直な気持ちとしてやはり存在します。
原始時代のように、人々が今日の食事や明日の寝床の確保に苦しみ、そこかしこで奪い合いが起き、明日には家族や友人がふといなくなっているかもしれない世界に、どうして戻ることができるでしょうか。
少なくとも僕は、そんなことは絶対にごめん被りたいと考えてしまったことを、正直に書いておきます。
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そもそも原始時代どころか、たぶん僕らは50年前に戻ることすら無理なんじゃないでしょうか。そう思える経験を、僕はつい最近までしていました。
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