中国は、コロナよりも「コロナの幻影」に苦しむようになるかもしれない

先日より、中国の各地でオミクロン株感染者の増加に伴い、ロックダウンに準ずる封鎖措置をとる地域が大幅に増えています。僕の住む街も、そこに含まれていました。

これを書いている3月22日の時点で、僕の住む街に関してはこれらの措置はほとんど解除されました。大規模PCR検査は行われず、小区や商業施設の出入りなどでも検査履歴のチェックがなくなりました。飲食店も客数など制限はあるようですが、ほぼ通常通り営業を再開したようです。もともと一週間というアナウンスだったので、予定通りでホッとしています。

いっぽうで、映画館など人が集まる施設はまだ営業を停止していたり、市外に出るにはやはりPCR検査の陰性証明(48時間以内)が求められるなど、完全には元に戻っていない部分もあります。部分的にはまだ封鎖が解かれていない地域もありますし、しばらくは警戒が続くでしょう。

Twitterを見ていると、連日続くPCR検査や外に出られない生活に疲れてピリついている邦人の姿がよく見られました。気持ちはよくわかります。僕のところは措置としては軽いものでしたが、それでも多少のストレスがかかりました。人流が多く、厳しい措置を取られていた場所で感じるストレスはもっと大きかったことと思います。

そんな中で、ここまでやる必要あるの? と中国の「ゼロコロナ」に対する疑問の声を上げる人も観測できました。おそらく、そういう人の周囲では日々受ける制限や不便さに不満を漏らす中国の人々の姿も見られているのでしょう。

ただ、昨日のnoteにも書いたことですが、さらに広範に感染が広がるリスクの方が圧倒的に大きい限りは、今のような「ゼロコロナ」路線は継続されるでしょう。これは、現在の中国にとって結局は最良の選択です。

ただし、これによる副作用がこれから先に待っており、それの克服は大変かもしれない、とも思います。今日はそのことについて書いてみます。

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先日、経済学者の飯田泰之先生による「公正世界仮説」についてのラジオを聴きました。

「公正世界仮説」とは、「良き意志をもって行われたことには良い結果があり、逆に悪い意志をもって行われたことには悪い結果が待っている」というような信念のことだそうです。

日本においては、「大人数で飲み会をした」とか「県を跨いで移動した」など、感染が拡大する状況で行われた「わるいこと」の結果として感染したという「公正世界仮説」にもとづいた価値観が、コロナ対策を非効率的にした(さらにマスメディアがそれを煽った)と飯田先生は指摘します。

いっぽうで、オミクロン株の急速な拡大以降は自分の身の回りに感染者が出るという経験をした人、つまり「よいこと」「わるいこと」の因果とは無関係にコロナが身近なものになった人が増えたことで、こういった「公正世界仮説」が崩れてきているとも言います。

たしかに、日本にいないので実際の状況はわかりませんが、感染者があいかわらず万単位で出ているにもかかわらず、コロナのことをあまり気にかけないで過ごす人も増えてきているように見えます。

飯田先生のラジオはその後、ロシア・ウクライナ問題と公正世界仮説の話に移っていき、そちらも興味深い内容なのですが、僕が気になったのはこの「コロナと公正世界仮説」、そして中国のことです。

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