中国のコロナをめぐる今後の見通しと、なぜ高齢者のワクチン接種が進まないのか(仮説)
中国の各地で、コロナに関わる規制を緩和する動きが広がっています。
各地での厳しく時に理不尽な規制に対して、ついに我慢の限界を迎えた人々が次々と抗議活動を起こし、各地での緩和につながったと見られています。
そのような見方が完全に正しいかどうかは別として(個人的にはそれ(抗議活動)もありつつ、防疫措置を続けるほうもリソース的な限界を迎えていたというのはあるんじゃないかと思っています)、制限を緩和するのであれば感染が広がっていくのは避けられないわけで、今後はそれに対してどう対応していくのかが中国の課題です。
それに関して、イギリスの歴史学者であるアダム・トゥーズという人が論考を出しているのをTwitterで知りました。非常に興味深い内容です。
とりわけ農村部に十分な医療体制がないなかで、これまで各国が先立って経験してきたような感染増の波が訪れた時、中国には大変な試練が待っています。
感染者とそれにともなう死亡者数が増えてしまうのはもちろん、それらが医療リソースを圧迫し、正常な社会活動に影響が出るでしょう。医療の供給体制が中国に比べて十分に手厚い日本ですら、それが問題として大きく取り沙汰されたのですから、中国ではどんな混乱が起こるのか。何をかいわんやです。
ひょっとしたらそのような社会的混乱は、ゼロコロナのための防疫措置が人々を苦しめていた時のそれよりも、よほど大きなものになるかもしれない——という、なかなかに絶望的なシナリオです。
もちろんこれから、そういったことが起こらないような措置が講じられていくことになるのでしょうが、どこまで混乱を抑えることが可能なのか。中国の前途は決して明るくありません。
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その「これからの中国が講じていかなければならない措置」に関して、アダム・トゥーズが上の記事で触れているのが、ワクチンに関する事情です。
「効果がない」などと揶揄されがちな中国製の不活化ワクチンですが、それはファイザー製などのmRNAワクチンと比較しての話であり、中国製ワクチンであっても接種すれば重症化や死亡率を抑える効果はそれなりに発揮されます。
中国以外の国で中国製ワクチンを使用している国もたくさんありますし、自国製のmRNAワクチンの開発を待たずとも、いまのワクチンをさらに広げることで目前の対策にはなりそうなものです。
しかし問題は接種率で、中国では高齢者に代表される高リスクの人々へのブースター接種が進んでいません。
中国はどうして、ワクチンの接種を積極的に推し進めてこなかったのでしょうか。上の記事でもアダム・トゥーズは「十分に納得できる説明は全くなされていない」と述べています。ゼロコロナによる封鎖で稼いだ時間を、さらなるリスクヘッジとしてのワクチン接種に充てることはできなかったのでしょうか。
このワクチンの接種が進まない理由に関しては、中国の人々と接していてなんとなく思うことがあります。以下は自説の開陳、一人の素人が唱える一種のトンデモに過ぎないことを念頭にお読みください。
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