これが中国で生きるということ。洪水と「最大多数の最大幸福」に思う
イキり中二病愛国人民による、クソダセえアートもどきの話題なんかよりも、もっと扱っておくべきことがあることを忘れていました。
中国では7月末から、豪雨による大規模な水害が起きました。首都である北京をはじめ、北部の幅広い範囲で被害が出ているのですが、なかでも河北省の涿州市というところの被害は甚大で、約65万人の住民のうち10万人ほどが避難を余儀なくされました。
その被害の様子は、連日SNSやニュースなどに流れてきます。いまはちょうど避難を終え、変わり果てた我が家に困惑する人々のことが伝えられている段階です。
涿州市が注目を浴びているのはその被害の大きさのほか、ネットなどを中心に、同地は北京市などの大都市部の被害を抑えるために犠牲になったのではないか、という意見が強いためでもあります。
事実として、北京と隣接する同地域は、ダムの貯水量が一定量を超えた際に、遊水池としてダムの水を誘導する地区に指定されていました。今回はその「一定量」を超えたために放水の決断がなされ、多量の水が同地域に流れ込みました。
それ自体は法律で決まっていることではあるのですが、だとしてもまったく事前準備をしていなかったことが、被害を大きくしている側面があります。
そもそも同地域がそうした(有事の際に犠牲となる可能性のある)場所だということが住民に周知されていないことや、避難勧告が出されるのがあまりにも遅かったこと、事後の救援活動も遅々として進まないことから、非難の声が上がっています。
まあ「非難の声」とはいっても、それを中国において大きくあげることは許されておらず、SNSではその話題に関連するハッシュタグがいちはやく禁止になるなど、いつもの中国当局的ムーブが見られてはいるのですが。
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中国でこういうことが起きるのは、初めてではありません。中国では水害が起きるたびにダムの緊急放流が行われ、犠牲になる地域があります。
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