隣り合わせの廃と青春18 強化ボス、襲来

私がウィザードからナイトを育て始めた理由の1つに、「ボス狩りをしたい」という話があったのを覚えているだろうか。

そもそもなぜボスを狩りたいのか?
当然ながら、単純にDROPが良い(限定アイテムや高額アイテムを狙うことが出来る)からというのもあったが、やはりボスモンスターを攻略することそのものに魅力を感じていた部分もあったと思う。
男の子なら一丁大物を狩りたくもなるだろう?さあ一狩り行こうぜ!(ゲーム違い)

ナイトを育て、レベルを上げながらボスを狩ってレアアイテムを入手し、売って儲けてまた育てる。
このサイクルが確立し、ゲーム内の友人もどんどん増えていったある日のことだ。

今度は、各種のボスが超強化されるというアップデートが行われた。
これは、新エピソードの実装というわけではなく、エピソードとエピソードの中間あたりで行われた気がする。
今まで1人でもなんなく倒せてきたバフォメットですら、受けるダメージが桁違いになり、とんでもなく硬くなって倒すのが難しくなった。
何しろ、半端なプレイヤー達だと5人で殴っても倒せないレベルの超強化具合だ。ネイルと融合したピッコロさん並みの強化幅である。
特にフェニックスは鬼のように強化され、一度戦闘がはじまると、範囲攻撃であたり一面が死屍累々になるレベルだった。

だが、ボスの強化に伴い、キャラクター側にも強化アップデートがなされた。
それが新装備部位「ベルト」の実装である。

全く新規の部位に、以下のように非常に有用な特殊効果が付与された装備を付けられるようになったのだ。
・「ボディベルト」:HP+50。(当時のキャラクターのHPは、よく育ったナイトでも550あればなかなか強い方だった)
・「オーガベルト」:荷物の積載量大幅アップ。(リネージュはポーションをがぶ飲みしながら敵を殴るだけのゲームなので、積載量は多いほど良い)

これらのベルトは、その希少価値も手伝ってプレイヤー達の憧れの的となった。
じゃあどこで手に入るのだろうか?
もう想像がついたと思うが、強化されたボスは、この新実装されたベルトをドロップするようになったのだ。
強化されたボスを討伐しなければ手に入らないということで、当然価格も高騰していった。

さて、強化されたボスをなぜ倒せないのか。
それは、ボスのHP自然回復力が非常に上がったことと、ACが強化されたことに起因する。
つまりこういうことだ。
・中途半端なレベルのキャラクターがいくら殴っても、相手のACが高すぎて満足に攻撃が当たらない。
・攻撃が満足に当たらないので、ボスのHPを削り切れないどころか、自然回復にすら追い付けない。
 →だから永遠に倒せない。
ドラクエ3のヤマタノオロチやボストロールと同じ理屈で、いくら殴っても、自然回復に追いつけない限りは倒せないということだ。(わかりにくい例えでごめんなさい)

しかし逆説的には、しっかりキャラクターを強化していればちゃんと倒せるということである。
つまり、キャラクターをしっかり強化していた私、そして鬼導血盟は、ボスを狩りまくれる立場にあったのだ。
まさに廃人だけが享受出来る、先行者利益そのもの。強化ボスには稼がせてもらった。

さて、竜成金の話ではないが、古来より富や力を持つと人は狂うもの。
当時鬼導血盟にはヤバい奴がたくさん在籍していた。これまで語ってきた厨房とはベクトルの違うヤバさで、一種のスゴみのようなものを感じるレベル。
中でも強く記憶に残っているのはこの2人。

「アシッド」
 あまりにも強化されたバフォメットが美味しいので、バフォメットを狩りにくる他の血盟の人間を基本的にALLKILLしていた。
 その際の声掛けが以下。
「私たちのことは知っていますよね?今後一切バフォには関わらないでいただきたい」
 完全にヤクザである。
 ちなみに友人になると献身的というか、色々教えてくれる良い奴である。(と私は思っていたが、周りはそうは思っていなかった模様。年代が近かったから親近感があったのかもしれない)

「トモユ」
 とりあえずちょっとでもむかついたらPKに及ぶ男。異様に沸点が低い。ちなみに歳上。
 私の大好きなエピソードは、「ゲームを始めたものの何をやればいいのか分からなかったし、女エルフは全員リアル女かと思って、とりあえずナンパばっかしていた」(本人談)というくだり。  
 後年オフ会をしたら実際イケてる好青年って感じだった。
 ちなみに面倒見がよく、年下の私は結構可愛がってもらっていた。飲み会、楽しかったなあ。
 後年、女好きの性格が災いして大変なことになるのだがそれはまた別の機会に…。

ともあれ、愉快な仲間達とボス狩りにレベル上げに、リネージュライフを満喫していた。非常にハッピーな時期だったと記憶している。

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