隣り合わせの廃と青春20 新ワールド「アークトゥルス」とスタートダッシュ
少し話が逸れるのだが。
私がレベル50達成よりは前で、ボス超強化のアップデートと同時期だったと思うが、リネージュに新ワールドがオープンした。
その名は「アークトゥルス」。(当時のリネージュの日本のワールドの名前は星の名前が付けられていた。個人的には遠く離れた世界って感じがするので好き)
リネージュは新ワールドがオープンすると、「スタートダッシュ」という祭りが発生する。
MMORPGというゲームはその特性上、どうしても長くやっている方が有利になっていく。
プレイの質的な要素ももちろんあるが、プレイ時間はそのまま強さに直結することで基本的に間違いはない。
しかし、新ワールドがオープンした時だけは、全ユーザーが均等にヨーイドン!となる。
これまでの「そのワールド限定の」積み重ねはリセットされるわけだ。
で、「そのワールド限定の」という枕詞をつけたのには勿論理由がある。
たとえワールドが変わっても、それまでに培ってきた「人脈」や、「リネージュ」というゲームそのものへの「知識」や「経験」は残り続けるからだ。
これは、ローグライクゲームでプレイヤーが成長していくのと同じである。
いわば「強くてニューゲーム」。
かの黙殺だって、USのワールドで結束したプレイヤー達が、カノープスワールドでスタートダッシュした結果の血盟なのである。
そんなわけで、スタートダッシュが好きな人、既存のワールドに飽きた者、事情があって既存のワールドにはいられなくなった者、言うまでもなく初心者等、多くの人間が新天地に集まり、オープンするワールドは活気に溢れるのだ。
さて、スタートダッシュにも当然ながらテクニックやコツがあり、中にはにわかには信じられない速度で突き進んでいく猛者達がいた。
私はレベル上げに勤しんでいたこともあり、基本的にはカノープスワールドにドップリだったため、新ワールドのスタートダッシュに参加したことがない。
従って、自分が体験したわけではなく、詳細は又聞きが多いのが申し訳ないところではあるが、これが狂ったエピソードばかりで面白い。
例えば、アークトゥルスワールドでダッシュした修哉達の集団は、開始数週間で既にAC-60(※1)ほどになっていたらしく、後にワールドの覇者となる「killing art」血盟とのPK戦ですら3対8で蹴散らしていたらしい。
何をやったらそうなるのか全く理解不能である。
(※1)当時はまだ、DEXによるAC強化が実装されていない時期。1から始めた一般人では、恐らく1年やっても辿り着けないレベルの装備だと思われる。
他にも、「BlueShine」氏によるソロ2ドレ(ドレイク)討伐タイムアタック、ワールドオープンから15-6時間とか、意味のわからない記録も聞いたことがある。
※古より実装されていた、ドラゴンバレーに出現するボス。特定地点にポップするのだが、1匹ポップする場所と2匹ポップする場所があり、2匹湧く方を2ドレと呼んでいた。昔はボスの種類も少なかったし、ドレイクがポップする場所はテレポートで一瞬でアクセス可能だったため利便性も高く、大変人気があった。(アクセスがよく美味しいボスが沸くということは、すなわちこれ利権が発生するということで、PK合戦の主たる戦場としても有名だった)
※余談だが、一時期はドレイクを「テイミングモンスター(野生のモンスターを一定時間隷属させるウィザードの魔法)」することも出来た。
これを日本で初めて成功させたのは、カノープスワールドの「Ikuko」氏。
チャレンジしてみようとしたのも凄ければ、当時ウィザードをレベル52にしたのも凄いし、実際に成功させたのはもっと凄い。今でも尊敬しているプレイヤーである。
さらに脱線するが、彼女は本業がライターだったため、日記サイトがめちゃくちゃ面白いことでも有名だった。「ニガシオ」ってサイトである。もしまだ残ってたら、是非読み返したい。
一方で、本当に上手な人達が既存ワールドを離れるとどうなるだろうか。
これはシンプルに言えば、下剋上のチャンスである。
戦争ガチ勢であれば、敵対勢力のプレイヤーが祭りに参加していると、当然既存ワールドにまでは手が回らなくなるため、此方の勢力を拡大するチャンスだろう。
ただ、当時カノープスワールドだけでプレイしていた私から見ると、「強いプレイヤーのログイン率が減ったな」という程度の感覚だった。
当時の仲の良いレベル上げ仲間達は、あまり新ワールドには行かず、カノープスワールドに居着いていた記憶があるので、そういった意味でもあまり影響を感じなかったのだろう。
しかし、スタートダッシュがそんな人外魔境なのであれば、1回くらいやってみればよかったかなと振り返ってみれば思う。
これこそまさに最前線のゲーム攻略。
最後に、友人S(リネージュで知り合った友人の中でほぼ唯一、今も友人関係が続いている。もう人生の友である)がスタートダッシュに言及した言葉を借りて締めたい。
「スタートダッシュが好きだったのは、ダッシュのたびにそういうわけのわからない光景を見られるから」
(追記)
件の友人Sも、このnoteに触発されて最近noteを書き始めた。大変嬉しい流れである。どんどん当時のことを語ってくれる人が増えたら本当に嬉しいな。
Sのnoteは以下。私のnoteよりもかなり突っ込んでいる内容で面白いので是非。