つけ麺の悪口

つけ麺が特段好きとかではない。かといって昼飯の選択肢としてつけ麺があるのであれば、割と食べたい寄りには入ってくる。空腹時なら尚更、大盛り無料みたいな店も少なくないからわざわざつけ麺の店を探すまである。

しかし、つけ麺を食べたあと、必ずといっていい程後悔の念を抱いてしまう。よく聞く高カロリーなものを我慢できず食べてしまったとか、胃がもたれるとか、そんなのではない。大きな要因がこれ。

つけ麺ってどこで食べても、味同じじゃないか?

たまーに見かける、辛つけ麺や味噌つけ麺みたいなのは一旦置いておいて、定番である魚粉をふんだんに使った濃厚つけ麺。これが!どこで食べても!!全部!!!味が!!!!一緒。

都内の有名店や生活圏にある店の定番のつけ麺を散々食べてはみたが、どこも魚粉の主張が強すぎて、とりあえず魚粉入れときゃいいかなみたいに思ってんだろ?と怒り心頭である。つけ汁、麺、具材の全てが魚粉の支配下にあり、つけ麺とは魚粉を色んな食感で楽しむ食べ物なのか?魚粉がなきゃなんもできないのかお前は、魚粉じゃないところで勝負してぎゃふんと言わせるような熱意はないのか?魚粉だけに。

じゃあ他の食べ物はどうか。
ラーメン。ラーメンは良い。醤油、味噌、とんこつ、坦々などそこだけで選択肢は多いのに、各店舗のオリジナリティがわかりやすいくらいにハッキリとしており、決まった味というものがない。今日もまた新しいラーメンが考案され、限定メニューにするには惜しいラーメンが生まれては消えていく。ラーメンとは、夏の夜空に打ち上がる花火のような、そんな儚さをもった料理だ。

カレーはどうか。カレーも良い。特にスパイスカレー。自分で作るとわかるが、基本的に味の骨格は水と塩の分量なのだが(自論)、そこに10種類以上のスパイスを組み合わせることでカレーの宇宙が拡がる。好みのスパイスがあればその分量を増やせば美味しいのかと思いきやそんな単純なものではない、複雑で探究心を煽る、まさに宇宙のような料理だ。

つけ麺。お前はダメだ。少なくとも魚粉にボールを集めて点を取るサッカーのようなことをしているうちは、ラーメンとカレーには到底及ばない。そもそもラーメン屋でラーメンと肩を並べてつけ麺がメニューに載っているのも理解ができないし、ラーメンと違い1玉の量の規格が店によって全然違うのも納得できない。スープがバカみたいに熱い店、トッピングが海苔だけの店、麺が重くて箸で掴みづらい店、魚粉をやってないと思いきやスープがただの酢みたいな店などなど、つけ麺の悪口を挙げていったらきりがないし、毎晩寝る前につけ麺のことを思い出してはイライラして寝られない…のは嘘。

でもなんやかんやこのどこで食べてもおんなじ味、その魚粉にまみれた味が、割と好きよりではあるので、過激な思想は持ちつつも食べてしまうのである。例えるなら、仕事のパートナーとしては最悪だけど友達としては最高、会うといい奴なのにツイ廃、上の口は拒んでも下の口は正直、みたいな。スーパーで売ってるチルドのつけ麺、あの価格帯であの満足度は素晴らしいですよね。適量だし、店となんら変わらない味を家で楽しめるのだから。

というわけで、全部魚粉の味とか言ってるの、単に味音痴なだけかもしれないので、つけ麺のおいしいお店をご存知な方おられましたらご一報ください。よろしくお願い申し上げます。

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