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知識の種類~自分の才能を見つけよう~

 古代ギリシャ語には,日本語における「知識」に該当する言葉が7つあります。ソクラテスやプラトンに代表される古代ギリシャ人は,学問の源流を創造しただけあって,物事を分析的に考察しました。


①  μαθησις(マテーシス)


 一つ目は,反復練習して覚える知識です。いわば,学校で習う知識と言えるでしょう。現代日本にあてはめれば,さしずめ受験勉強に必要な知識と言えるでしょうか。この知識を修得するには,高い記憶力が必要になります。

②  τεχνη(テクネー)


 第二の知識は,職人的な技術です。大工やプログラマー・美容師が持つような技術力です。こうした知識は,教科書を使って学ぶものではありません。繰り返される体験と経験により,身体で覚える知識です。

③  επιστημη(エピステーメー)


 三つ目は,科学的な知識です。つまり,数学や物理学のような知識であり,修得するには論理的思考能力が必要になります。一般的に,IQ(知能指数)が高い人間は,こうした能力に秀でています。高IQの人々は,論理的な推論能力に優れていますので,記憶型の知識を重視する日本的教育には適合しません。

④  φρονησις(フロネーシス)


 次は,実践的な知識です。つまり,実社会において役立つ知識であり,「知恵」に近いのかもしれません。会計・マネジメントや金融・法学的な知識もさることながら,コミュニケーション能力もまた,フロネーシスの一種と言えるでしょう。ここに至って,知識は「有用性」という性格を帯びました。

⑤  μητις(メーティス)


 第五は,他人を出し抜く知識です。少々悪い言葉になりますが,策略的な知性とでも言いましょうか?物事を成功させる戦略的な知識と言えるでしょう。具体的な人物を挙げれば,イーロン・マスクの経営戦略,ウォーレン・バフェットの投資戦略などが該当すると思われます。こうした知識に秀でた人々は,交渉術が上手く,周囲の意表を衝く才能があります。

⑥  σοφια(ソフィア)


 次は,形而上学的思考によって獲得される知識です。簡単に申し上げれば,哲学的思考です。頭の中の概念を離合集散させて,新しい価値を提示すること。ソクラテスやカントのように,新しい人生観や世界観を創造すること。ここに至って知性は,抽象的な領域に突入しました。

⑦  επιγνωσις(エピグノーシス)


 最後の知識は,啓示によって得られる理解です。イザヤ・エレミヤなどの預言者,ルターやカルヴァンなどの宗教改革者が創造した知識です。宗教は,すべての価値の土台であり,アリストテレスの言う「文明の第一原因」です。文明の原理原則に該当する知です。もちろん,イエス・キリストや釈迦・マホメットなども,こうした知識を提供しました。神・来世・霊魂・不死に関する知識と言えるでしょう。

 様々な知識があります。様々な才能があります。ご自身がどの才能に秀でていて,どの知識に精通しているか,吟味されてはいかがでしょうか?
 

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