レベニューマネジメントにかつてのような威力はあるのか。宿泊者の行動を左右するものは無数にある。価格の透明性、レートパリティ(価格の一貫性)以外にも、ユーザー生成コンテンツや、スマホなど。最早、価格だけで消費者の行動を変えることはできないだろう。新たな成功事例は次々と共有され、競争力のあるポジショニングは日々変化する。レベニューマネジメントの効果を発揮させるためには、顧客をより深く理解する必要がある。
宿泊産業において、レベニューマネジメントは、1980年代後半から1990年代まで、航空業界の成功に端を発した、在庫管理を中心とした役割を担っていた。つまり、需要予測に基づき、事前に規定された価格の開け閉めを行い、日々最適な稼働率となるように管理していた。その後、2000年代初頭にかけて、組織内のより広範な役割を担うようになった。マーケティング、売上管理、チャネル戦略、顧客主導の需要開発、ホテル全体の収益管理などを統括するのだ。(下図|進化するレベニューマネジメントの範囲)
この役割を、どのように効果的に成すべきか?が本書の示すところだ。価格最適化、ビッグデータ、拡大していく役割と期待。本書は”最新”であった頃から、なかなか読破できず、本棚からプレッシャーを発していた本なので、この機に、整理しながら、本質を理解していきたい。