市場規範 vs 社会規範
企業にとっての顧客は単にお金? 友人? 家族?その一つの解は、顧客とどのような規範で繋がるか。本書では、人・もの・ことの繋がりは、2つの概念のいずれかが優勢と説明しています。このnoteでは、本書で説明されている「市場規範」と「社会規範」という概念をマーケティングでどう使うべきか?を考察します。
ここでのポイントは、企業と顧客は1つの規範でしか繋がれないことと、一度、市場規範で繋がると、なかなか純粋な社会規範の繋がりには戻れないという、トレードオフを伴う選択であること。
私の現時点の解は、顧客の消費行動を購入と体験に明確に分け、繋がり方を変えることで、より満足度の高い消費行動、リピートを促せると考える。
購入は、価値と対価を明示して購入を促す「市場規範」の繋がりを強化し、
体験では、「社会規範」の繋がりが強化された家族や友人のようなもてなしで純粋に人・もの・ことを楽しませるのである。
そのようなことは現実に可能であろうか? 例えば、ディズニーランドはヒントになるだろうか。チケットを購入時点では、オンラインや専用窓口での消費行動になり、もちろん体験する以前に支払いを求められ、厳密に一文たりとも値下げされない、キャンセルもできない。ディズニーランドの1日券はマクドナルドで2ヶ月分の食費では?という大枚を求められる世界だ。ただ、一旦体験に入ると、つまり入園すると、そんなことは一切忘れてしまうような、フレンドリーなキャストや愛くるしいキャラクターに迎えられ、心躍る夢の国の体験をして、また来ようね!と誓ってしまったりする。ここまで明確に、購入と体験を分けるには、相当な作り込みが必要かもしれない。とはいえ、こと・体験を売る場合、事前に精算できるオンライン購入システムと、当日にこと・体験を提供する人・場所がある場合にはかなりの確率で楽しい実験ができるはずである。具体的には、事前購入を促す仕組みの強化、当日に精算・金額を感じさせない工夫、当日の提供スタッフと顧客との距離感についてのスタディなどである。