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共通テスト地理総合・地理探求、地理B(旧課程)の対策法、おすすめ参考書

   お久しぶりです。ネタはいくらでもあるのに、しばらく更新が滞ってしまっていました。要はサボりです。すみません🙇

 それでは軽く今回のテーマに触れていきます。今回は、共通テストの地理総合・地理探求、地理B(旧課程)の勉強法とおすすめの参考書を紹介したいと思います。地理は、理系の社会科選択としては一番メジャーで、文系でも世界史との組み合わせで選択する人が多いです。共通テストのみで地理を利用する方が多いと思うので、まずは共テ対策について深掘りしていきます!(次回は2次試験の対策を扱いますが、まず共通テストレベルをクリアしないと2次試験レベルの勉強をしても効果が薄いと思います。)


共通テスト地理の特徴

 前回の記事↓では私が思う受験地理の基本的な勉強法を紹介しました。
東大地理にも有効な受験地理の基本的な勉強法を紹介!

 今回は共通テストの地理対策に焦点を絞り、勉強法を紹介していこうと思います。まず確認なのですが、このnoteを読んでいる受験生の皆さんは、令和7年度からの新課程対応となる共通テストの試作問題、あるいは令和6年度以前の共通テスト地理Bの過去問を解いたり見たことがあるでしょうか?そして、他の地理歴史・公民科目の問題と比較したことがありますか?見てもらってから説明する方が実感が得られると思うので、見たことがない人は、以下のリンク先に試作問題の概要、問題、解答があるのでそこから閲覧してください。
令和7年度試験の問題作成の方向性、試作問題等

 どのように感じましたか?そして、他科目と比較してどんな特徴があったでしょうか?感じてほしいこと、意識してほしい特徴を以下に5つ上げます。

①全ての問いに図、資料、会話文のいずれかがついており、文字以外で与えられる情報量が多い

 どの問いにも図表(さまざまな種類のグラフ、地図、主題図)、資料(調べ学習のまとめ資料、自治体による資料)、会話文(先生と生徒の会話文、生徒同士の会話文)が含まれており、それらを参照しながら正答を導き出していくことになります。図表、資料、会話文が各問いに一つはついているため、他科目に比べて文字以外でも与えられる情報が多いです。

②一問一答形式の問題がない

 「下線部〜について述べた文として最も適当なものを一つ選びなさい」という類の問題は出題されません。つまり、基本的に覚えているだけで全く考えずに解けるというような問題はありません。

③単純な正誤問題がない

 日本史や世界史、公共(倫政)などのように正誤問題自体は存在しますが、それらの科目と異なり正誤を判定する際に必ず資料やグラフの読み取りを要します。 

④題意を捉えないと解けない問題が多い

 主にグラフを扱う問題ではその問題が何について問うているかがわからなければ解けないものが多数存在しています。抽象的な説明になってしまっているので、具体的な例を挙げると、令和7年度試験の大学入学共通テスト地理総合,地理探求の試作問題の第5問問1は、題意としては「夏季と冬季、あるいは年間の降水量の多少」です。つまり、各地点が年中湿潤、年中乾燥、夏季多雨・冬季小雨、夏季小雨・冬季多雨のような分類のいずれに属するかを、①乾燥指数の計算式②グラフ③地図上での位置を踏まえて正しく考えることができれば、あとは各地点での農業についてわかってさえいれば正答を導き出せるというものです。このように題意を見極められるようになるためには、地理的思考力(地理の問題を自分の頭の中にある正しい地理的理論を用いて、論理的に正答を導き出す力)を養成することが必要になります。(地理的思考力が何かわからない人は、前回の投稿を参照してください)

⑤一問を解くのに踏まないといけない手順が多い

 ④で具体例として扱った問題の説明を読んでもらえばわかってもらえると思いますが、正答を導くのに必要な知識、図表・資料・会話文から必要な情報を読み取る力、複数の資料による情報を総合する力など必要な力や踏まねばならない手順が多いです。知識のみで解ける問題がないので、地理の問題を自分の頭の中にある正しい地理的理論を用いて、論理的に正答を導き出す力(地理的思考力)をつけることが必要になります。

 以上のように5つの特徴を挙げました。特に意識しておいてほしいのは、①と④です。これから深掘りしていく問題を解く際のポイントにもつながっていくので、しっかり理解しておいてください。

共通テスト地理の問題を解く際の手順

 ここまで説明してきたように、共通テストの地理の問題は全ての問いに図表・資料・会話文のいずれかがついてくるので、大きく分けて2種類の問題があり、①図表・資料の判読問題、②会話文の文脈読み取り問題・説明文の穴埋め問題となっています。それぞれ分けて説明していきますが、もちろんこの二つが融合したタイプの問題もあります。

①図表・資料の判読問題

 図表・資料の判読問題を解く際のポイントは3つあります。1つ目は、①でも②でも同様に必要になることですが、題意を捉えることです。共通テスト地理の特徴の④でも触れましたが、これはアバウトにこの単元の話だなと見分けがつくといったレベルではなく、もう少し細かく、単元の中でもこの話だなと判別できるようになることです。具体的には、「人口の単元だな」ということがわかるだけでなく、「人口の単元の先進国と発展途上国の人口増加率の違いの話だな」という感じに判別できるようにしてください。この判別ができるようになるには、ある程度問題演習をこなすことが必要になります。2つ目は、グラフ又は主題図(鳥瞰図、階級区分図、カルトグラム、流線図、メッシュマップ、ドットマップ等たくさんあります)がついている場合で特に重要なのですが、問題を見たときに特徴的なデータに印をつけることです。共通テストの問題は特徴的なデータを踏まえて考えることで、積極法的に2択まで絞れることが多いです。(「積極法的に絞る」というのは矛盾したような表現ですが、、、)まず、2択に絞ることができなければ正答を導いていくことが難しくなるので、必ずできるようになってください。3つ目は、2択に絞った上で相対的に比較して正しい選択肢を選ぶということです。例えば、国同士の比較であれば、人口規模、国土面積、一人当たりGNI、物理的空間位置といった各国の基本データが重要な手掛かりになります。これらのデータについて、参考書でもよく取り上げられるような国に関しては必ず押さえておくようにしておいてください。

②会話文の文脈読み取り問題・説明文の穴埋め問題

 会話文の文脈読み取り問題・説明文の穴埋め問題を解く際のポイントは2つあります。1つ目は、①と同様に題意を捉えることです。これをしないと始まりません。2つ目は、正しく文脈を読み取ることです。会話文によって答えを絞り込んでいくことになります。正しく文脈を読み取れていないと正答できないものや、途中までしか読んでいないと答えとは逆の答えに引っかかってしまうようなものもあるので、注意してください。2つのポイントに共通するのは注意深く問題文を読むということです。共通テストは資料や問題文が長いですが、決して試験時間が長いというわけではなく、タイムプレッシャーが非常に大きくなる試験だと思いますが、資料や問題文を丁寧に読んでいかないと正答にたどり着けないようになっています。時間を意識しながら正確に情報を読み取っていけるように訓練していきましょう!

共通テスト地理のおすすめ参考書

共通テストの地理対策用の参考書はたくさん発売されていますが、講義系の参考書で持っておくべきものに関しては、基本的には2択だと思っています。どちらかを必ず持っておくようにして欲しいと思います。1択目は河合塾の瀬川聡先生の『大学入学共通テスト 地理Bの点数が面白いほどとれる本』(通称:黄色本)、2択目は東進の村瀬哲史先生の『村瀬のゼロからわかる地理B』(系統地理編と地誌編の2冊あります)です。私はどちらも使用したことがありますが、前者は「地図帳のここにマークしておこう!」みたいな指示が明確に書いてあり、独学の人は特に勉強しやすいと思います。後者は写真や図などのレイアウトが素晴らしく、見やすいです。後者に関しては、自力で大事な地理的事象等を抽出して地図帳に書き込む作業が必要だと思いますので、イメージとしては前者よりもターゲット層が中上位者に限られるかもしれません。どちらも、地理的思考力を養成するにはもってこいの参考書だと思います。まずは、これらの講義系の参考書を読み進めて、インプットを進めていってください。その際意識して欲しいポイントや、基本的な勉強法に関しては以下⬇️の記事で紹介しています。
東大地理にも有効な受験地理の基本的な勉強法を紹介!

参考書を使った具体的な勉強の進め方

講義系の参考書を使った勉強の進め方を、どの時期に何をすれば良いかも具体的に紹介したいと思います。全体のスケジュールを明確にしながら、説明していきます。

高3の4月〜7月末

1周目は、平日に1日だけで良いので地理を勉強する時間をとり、2周目はその週末に同じ範囲をもう一度読む。3周目は7月末の10日間ほどで毎日時間を確保して読む。
全体としては、講義系参考書の系統地理範囲の解説を3周ほど読む。それぞれの周で意識して欲しいことは以下⬇️
1周目は、サーっと内容を確認していく
2周目は、1周目で読んだ内容がどれくらい理解できているか確認しながら、理解が浅い部分に印をつけていく(マーカーでアンダーラインを引く)
3周目は、一言一句自分のものにして行くつもりで丁寧に読み込む
という意識で取り組んで欲しいと思います。

高3の8月

ここでは、瀬川聡の地理B超重要問題の解き方【系統地理編】を使ってもらいます。(ボリュームとしては、黄色本よりも分厚いかもしれないくらいです)夏休みの間にこれを1周終わらせてください。問題を解く際は、制限時間の半分の時間で解くことを目標に時間を測って取り組んでください。ただ、注意して欲しいのは、時間制限を設ける上にそれを短くして取り組むので焦って問題文を読み飛ばしたりしないようにしてください。あくまでも問題文は丁寧に読んだ上で判断を素早くできるように意識してください。丁寧に問題文が読めないのであれば参考書自体に書いてある時間制限の通り取り組んでもらっても大丈夫です。ここまでがキチンとこなせていれば、恐らくすでに8割ほどの得点力はついてきていると思います。

高3の9月〜12月半ば

この時期には地誌分野の講義系参考書と瀬川聡の地理B超重要問題の解き方【地誌編】を同時並行で進めてもらいます。1〜2週間で1地域ずつ終わらせることを目標に計画を立てて進めてください。(地誌に関しては講義系参考書は最低2周読んで欲しいです。1週間の中でのスケジュールとしては、系統地理範囲を勉強していた時の週に2回同じ範囲を読むことにプラスで問題集に取り組む時間を加える形が良いです)

高3の12月半ば〜年内

この期間では、共通テストの過去問5回分(追試含めれば用意できると思います)を目安に60分通しで解く練習をしてください。時間配分を意識して取り組んで欲しいと思います。時間の使い方としては、わからない問題は一旦仮で答えを出しておいて、最後の10分間を見直し時間としてとっておいてそこで考え直せるようになって欲しいと思います。

共通テスト本番まで

問題を解く感覚が鈍らない程度に、適度に演習もしながら、インプットの割合を増やしてください。国家・民族の範囲や地誌分野に関しては単純暗記の比重も一定程度あるので、そういった範囲をこの時期に再確認することは非常に効果的だと思います。

まとめ

以上が参考書を用いた具体的な勉強法ですが、おそらくこんなに丁寧にやり込まないといけないの?と思う人が多いと思います。ただ、本当に90点以上の得点を共通テストの地理で安定して取れる力をつけたい人には必要だと思います。時間をつくって頑張ってください!

余談
共通テストやセンター試験の難易度についてですが、私の個人的な意見としては基本的にどんどん難しくなっていると感じています。
共通テスト(新課程)試作問題>共通テスト(旧課程)>センター試験
理由としては、シンプルな正誤問題の数が減っていること、複数資料を踏まえて解答する問題が増えていることです。正誤問題は短時間で解答でき、難問も多くないためその問題数が多ければ全体としての難易度が低くなるかなと考えています。また複数資料を踏まえて解答する問題は、問題を解くために幾つかの段階をクリアする必要があり、時間もかかるため全体の難易度が高くなります。


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