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三年周期の女

武の道においては千日を初心とし万日の稽古をもって極とす。

~大山倍達~

大山倍達の名言 30選

私の友人に剣道経験者が居る。
彼女が言うには何をやるにも上達が遅くて基本的に3年かかると言う。私は直ぐに大山倍達さんの言葉を思い出した。
彼女に言う『約3年であれば千日を超えているので初心だよ、スタートラインにも立てない人がそれだけ多いって事だよ、そんな中でコツコツ3年も続けられるのは凄い事だよ』と。
しかし彼女は『3年もかかってやっと出来た得意技が引き小手だよ?』と返してきた。知らない人間は鍔迫り合いからの引き小手を卑怯だとかセコイと言ったのだろう、それを言うなら異種格闘技の猪木VSアリ戦で、マットに寝転んでローキックを蹴った猪木にセコイと言うようなものだ、認められている技を使って何が悪い?

調べたのだが、引き小手とは相当難しい技だと知った。

鍔迫り合いの状態から相手をグイッと押して下げ、自分の間合いに持ち込んだところに素早く小手を打ち込んで後ろに下がる技を引き小手と言う。ポイントは引き小手を打った後、自分が後ろへ下がるスピード。これが速くなければ逆に相手に打ち込む隙を与えてしまうのである、ゆえにこの引き小手は『一本にするのが難しい』と言われるのである。そしてこの技、打つからには確実に一本にしなければ相手が面を打ち込む大きな反撃のチャンスを与えてしまう、その反撃を避ける為にも足さばきが本当に大切となってくる。

私は彼女の練習量がどれほどのものか思い知った。
本人はそうでもないと言うだろう、仮にそうだとすればこの技を難なくこなし、得意技と言えるのは天性の勘の良さ、まさにセンスだと思う。

私は完全に前者だと思う、基礎的な練習をしっかり3年やっていたからこその『引き小手』だろう。では動画で引き小手での1本特集を見て見よう、正直速くてわからないと思う、鍔迫り合いからの面行くぞ?面行くぞ?という目線でのプレッシャーもあるだろう、相手が来るのか?今行くべきか?鍔迫り合いの最中からの攻防、緊張感の連続、一瞬に掛ける判断と根性、並大抵の集中力じゃないと思います。

そんな彼女は最近『ボクササイズ』を始めたのだが、タイミングが合わないと言うので、ちょっとレクチャーしてあげた。腋を締める、肘の角度、姿勢、構えなど細かい調整をしたところ、数十分で的にした私の手の平が痛い程の的確なジャブとストレートを打てるようになった。思った通り勘の良さはある、教えたことを素直に吸収して自分のモノにできる能力があると感じた。少し話をしたところ『歌に挑戦してみたい』『ダンスもやってみたい』と話していた、もし彼女が3年ボクササイズを続けたら私とスパーしても戦えるレベルになるだろう、となると歌もダンスも3年練習したら?これら全てを万日続けたら?恐ろしい人材を友人に持ったものだと思う。

本人はとても自信が持てない人なのだけれど、自信を持てなんて無責任なことは言わない、でもあなたは明らかに続けることが出来る人。

私に言わせれば続けられることこそが『才能』である。

素敵な友人を持ったことを誇りに思う。

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