【リレー小説】第一弾 #7(きやま)
誕生日に、いつもは会わない苦手な人に会うなんて、ちょっと幸先が悪い気がする。私は一度大きくため息をついたあと、気持ちを切り替えるために自分の頬をぺちぺち、と手の平で軽く叩いた。
「よしっ」
肩にかけたカバンの紐をぎゅっと握って、口角を上げる。
「すごい気合入ってるじゃん」
急に声をかけられ、驚いて声が聞こえた右隣へと顔を向ける。学ランの黒が視界に入り、顔を上げるとそこには佐藤君がいた。
「わっ、び、びっくりしたあ」
「頬っぺた叩いて、今日ケンカでもすんの?」
今の一連の行動を見られていたのが恥ずかしくて、俯きながら「違うよっ」と返す。佐藤君はそんな私の反応に笑い声を上げた。誕生日の朝から佐藤君が話しかけてくれるなんて、すごくラッキーだ。
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