Clay

旅行雑誌を中心とした雑誌媒体や、WEBコンテンツ、プロモーション用の映像などの編集・制作を行う編集プロダクションです。内覧会の感想や、編集プロダクションの裏話などを発信していきます。リレー小説などの企画も定期的に更新。

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マガジン

  • 【リレー小説】第二弾

    文字前後 ・3人で4回転(全12話を予定) (第二弾特別ルール)・毎回、自分のターンで“色”を入れる  <順番> にしえみ→きやま→飯田

  • 【リレー小説】第一弾

    【リレー小説】企画の第一弾 <第一弾のルール> ・1人当たり300文字前後 ・3人で3回転(全9話を予定) ・執筆者1人当たり1人ずつ登場人物を出す(登場人物は最大3人) <順番> きやま→にしえみ→飯田

最近の記事

【リレー小説】第二弾 #12(飯田)

「佐藤君!お疲れさま!」 「めっちゃ疲れた顔してるから別人かと思ったで!」 お客さんだと思ったら、6時から勤務のパートの山田さんだった。 このコンビニではベテランの部類に入るパートさんだ。 山田さんは、目が覚めるような真っピンクのTシャツを着ている。 早朝からテンションが高いのはいつものことだ。 「あー、今日はいろいろありまして。」 ボクは、力のない声で答えた。 「疲れてそうやから、はよ帰って、休み!」 「ありがとうございます。お疲れ様です。」 店長もいな

    • 【リレー小説】第二弾 #11(きやま)

       店長は女性を見送ると言ってどこかへ行ってしまった。  大阪は変な人が多いな、と改めて思う。金髪のお兄ちゃんや吉田さん、店長に不倫相手の女性。今日会った、しかもバイト先の人だけでも個性派ぞろいだ。生粋の大阪人、みたいな人は金髪のお兄ちゃんぐらいだけど、各地から変な人が集まっている気がする。  トイレの近くに設置されている鏡を覗く。 いたって平々凡々な自分が立っている。オーラも何もない、無色透明の人間……。 「ボクにはなんにもないなあ」  と、呟いてしまうくらいには、何

      • 【リレー小説】第二弾 #10(にしえみ)

         ボクはチラッとトイレの方に目をやった。 「店長はエリアマネージャーに急遽呼び出されて、しばらく戻らないみたいです」 「あーだから電話が繋がらないのね。戻ってきたら電話するように伝えて」  そう言うと、奥さんは去っていった。そして、様子をうかがいながら二人がトイレから出てきた。 「いや~危なかった。最近アイツ怪しんでるんだよ。」  なんでボクがこんなに焦らなきゃいけないんだ。でも、来月から給料が上がるなと期待しながら、バックヤードに戻って作業を続けた。  時刻は5時

        • 【リレー小説】第二弾 #9(飯田)

           ボクはバックヤードに行き、ドリンクの補充をしていた。早く、あの場から離れたかった。あの人がくると店長が妙に気持ち悪くなる。  新発売のお酒やお菓子が床に雑に置かれている。赤色の栄養ドリンクが毒々しい。まさに今の状況を表わしているかのようだった。  しばらくレジは店長にまかせておこう。  かれこれ10分ぐらいたっただろうか。 「すみませーん」 「すみませーん!!」  レジの方から声が聞こえた。  ボクはあわてて店内へ戻った。  あれ?あの二人はいったいどこへいった

        マガジン

        • 【リレー小説】第二弾
          7本
        • 【リレー小説】第一弾
          10本

        記事

          【リレー小説】第二弾 #8(きやま)

          「ほんとに来たんだ」  店長は嬉しそうな顔で女性に声をかける。 「うん。さっき仕事終わったばっか」  女性もにこやかに返す。ピンク色の空気が二人の周りに漂っていた。  店長は近くにあったカゴを女性に渡して、「なんでも好きなもの入れてきていいよ」と言った。 「いつもありがとう」  ワンピースをひらりとなびかせて、彼女は売り場へと歩き出した。店長はぽーっとした顔で後姿を見つめている。  飲み物の補充でもしようとレジから出ようとすると、店長がボクのほうを振り向いて、 「

          【リレー小説】第二弾 #8(きやま)

          【リレー小説】第二弾 #7(にしえみ)

           時刻は1時。  この時間はほとんどお客さんが来ない。24時間開けている意味があるのかと思うほど、1時を過ぎるとほとんどお客さんは来ないが、バックヤードにいた店長が出てきた。 その瞬間、自動ドアが開き、緑色のワンピースを着た女性が入ってきた。30代前半ぐらいだろうか。ほとんど化粧をしていないが、目鼻立ちが整っており、すっぴんでも十分美人である。  彼女は店長の不倫相手だ。  3カ月前に、二人が車の中でキスをしているのを偶然目撃して以降、ボクの前では堂々と振る舞っている。口

          【リレー小説】第二弾 #7(にしえみ)

          【リレー小説】第二弾 #6(飯田)

           そろそろボクに話を振るのはやめてほしい。つい先日、店長に私語が多いと釘を刺されたばかりなのに。  今もきっとバックヤードで僕たちの会話を聞いているはずだ。  吉田さん、ボクの苦手なタイプなんだよな。 それに、今のボクには青春なんて無縁だ。 でも、断るわけにはいかないし。 「自分、理工学部です。自分でよければ」  僕に出せる精一杯の笑顔で答えた。 「んじゃ、よろしゅう頼むわ!」 「吉田!友達できたで。良かったな」  と、金髪の兄ちゃんは満足そうだ。  吉田さんは、横

          【リレー小説】第二弾 #6(飯田)

          【リレー小説】第二弾 #5(きやま)

          「こいつめっちゃ怪しいやろ」  さっきまで焦っていた僕の様子を見て察したのか、金髪のお兄ちゃんが吉田さんの肩に手を回しながら笑う。どう返していいかわからず愛想笑いを浮かべると、明るい声が続いた。 「そういえば佐藤さんてK大やんな?」 「あ、そうです」  時々話す大学のことも、金髪のお兄ちゃんは覚えていた。 「吉田もK大学。経済学部」 「勝手に個人情報教えないで下さいよ」 「お前の個人情報なんか知りたい奴おらんわ」 「じゃあ教えないで下さいよ」  僕は二人の会話を蚊帳

          【リレー小説】第二弾 #5(きやま)

          【リレー小説】第二弾 #4(にしえみ)

          「ん?」 金髪のお兄ちゃんが振り返った瞬間、ボクは思わず目をつぶった…。 「おー!吉田!どうしたん?」 「これ、忘れ物です。」 そう言って、怪しい男は、シルバーの装飾が施された黒の長財布を、金髪のお兄ちゃんの目の前に差し出した。 この状況を把握できないボクに、金髪のお兄ちゃんは 「お礼に吉田の分のタバコも頼む。えーっと、34番を1個、追加で!」 とマイペースに言った。 ボクの心臓はまだ、バクバクしている。 なんだよ。てっきり襲われると思って、色んな事想像してしまったじ

          【リレー小説】第二弾 #4(にしえみ)

          【リレー小説】第二弾 #3(飯田)

          「でさー、その大学生たちが急に歌いだしてさー」 ボクは入ってきた客が気になって、金髪の兄ちゃんの話が、一切頭に入ってこなかった。 男は、目的もなく店内を歩き回っている。どう見ても、怪しい。 怪しい男を目で追いながら、タバコのバーコードを読み取ろうとするが、最悪の事態を予想している僕の手はブルブルと震え、身体中の汗が一気に吹き出だしそうになっていた。 「なんだよー聞いてんのかよー」 金髪の兄ちゃんは、ただならぬ雰囲気に気づく様子もない。 「あっ、すみません。何の話でした

          【リレー小説】第二弾 #3(飯田)

          【リレー小説】第二弾 #2(きやま)

           彼が買うものいつもスポーツドリンクとおにぎり、それと34番のタバコ。髪の毛の色と同じくらい明るい性格で、レジで必ず雑談をする。 「お疲れっ。あと34番」  ボクはさっと棚からタバコを取る。 「お兄さんもお疲れ様です」  金髪のお兄ちゃん、と呼んでいるのは心の中だけ。彼はこの時間帯まで、飲食店で仕事をしていると以前聞いていた。 今日は大学生の団体が来て大忙しだったという話に相槌を打っていると、新しく客が入ってきた。  なぜかその人影が妙に気になって、ちらっと自動ドア

          【リレー小説】第二弾 #2(きやま)

          【リレー小説】第二弾 #1(にしえみ)

          リレー小説第一弾が無事に終わり、 今回から、リレー小説企画第二弾が始まります。 <第二弾のルール> ・1人当たり300文字前後 ・3人で4回転(全12話を予定) (第二弾特別ルール)・毎回、自分のターンで“色”を入れる <順番> にしえみ→きやま→飯田 私たちも、予期せぬ展開にドキドキしながら… 早速始めていきます! -----------------------------------------------------------  ボクの名前は佐藤。コンビニで

          【リレー小説】第二弾 #1(にしえみ)

          【リレー小説】第一弾(全9話) #総評

          リレー小説企画第一弾が無事に終わり、 それぞれ感想を述べていたいと思います。 ご参考までに… <第一弾のルール> ・1人当たり300文字前後 ・3人で3回転(全9話を予定) ・執筆者1人当たり1人ずつ登場人物を出す(登場人物は最大3人) <順番> きやま→にしえみ→飯田 ----------------------- (きやま) ラストが予想できない、リレー小説の醍醐味を存分に味わえました。笑 書き始めは、誕生日がテーマなので友情系になるかなあと思っていましたが、その

          【リレー小説】第一弾(全9話) #総評

          【リレー小説】第一弾 #9(飯田)

           ここは平常心を装って、すかさず「バシ!!」っと佐藤君の背中をたたいた。 「痛ててて!力強すぎない?」  佐藤君は半分苦笑いだ。やりすぎたかな?と少し不安になった。 「ありがとう!気合入ったわ。」 「そうだ!今日、誕生日だろ。いつも野球部を支えてくれてありがとな。」  はにかんだような笑顔で、可愛くラッピングされたハンドタオルを渡してくれた。  私は、思わぬ展開に茫然となり、その場に立ち尽くした。顔は真っ赤になっていたと思う。 「じゃ、また後でな!」  佐藤君は照

          【リレー小説】第一弾 #9(飯田)

          【リレー小説】第一弾 #8(にしえみ)

           佐藤君のことを気になっているものの、今はマネージャーと部員という関係だから、野球の邪魔をしたくない…と思って、自分の気持ちを必死で抑えていた。でも、それは言い訳なのかもしれない。今の関係が壊れるのが怖いんだと思う。  普段はこんなこと考えないけど、サキと出会って、ちょっと焦ったのかもしれない。サキはいつも、私が好きになった人を奪っていくから。 「夏大会の予選も始まるし、気合いを入れているの!」  私はもう一度、自分の頬をぺちぺちと叩いてみせた。朝から佐藤君に会えるなんて

          【リレー小説】第一弾 #8(にしえみ)

          【リレー小説】第一弾 #7(きやま)

           誕生日に、いつもは会わない苦手な人に会うなんて、ちょっと幸先が悪い気がする。私は一度大きくため息をついたあと、気持ちを切り替えるために自分の頬をぺちぺち、と手の平で軽く叩いた。 「よしっ」  肩にかけたカバンの紐をぎゅっと握って、口角を上げる。 「すごい気合入ってるじゃん」  急に声をかけられ、驚いて声が聞こえた右隣へと顔を向ける。学ランの黒が視界に入り、顔を上げるとそこには佐藤君がいた。 「わっ、び、びっくりしたあ」 「頬っぺた叩いて、今日ケンカでもすんの?」

          【リレー小説】第一弾 #7(きやま)