【リレー小説】第二弾 #11(きやま)
店長は女性を見送ると言ってどこかへ行ってしまった。
大阪は変な人が多いな、と改めて思う。金髪のお兄ちゃんや吉田さん、店長に不倫相手の女性。今日会った、しかもバイト先の人だけでも個性派ぞろいだ。生粋の大阪人、みたいな人は金髪のお兄ちゃんぐらいだけど、各地から変な人が集まっている気がする。
トイレの近くに設置されている鏡を覗く。
いたって平々凡々な自分が立っている。オーラも何もない、無色透明の人間……。
「ボクにはなんにもないなあ」
と、呟いてしまうくらいには、何もない。特徴と言えば二重まぶたなぐらいだ。
ため息をついて鏡の前を離れると同時に、お客さんが入ってきた。その人はボクのほうをちらっと見て、少しびっくりしたような顔をする。
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