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ムクムクした毛? 花の名は。Vol.21
これはかなり昔の話です。二十代の頃かな。職場の同僚から聞いた笑い話です。同僚とその御尊父、お散歩中のこと。季節は早春。庭先に、開き始めたばかりの、ハクモクレンの蕾。まだ毛で覆われた殻を被っています。そこで御尊父、なぜか、つぶやく。
「なるほど。確かにムクムクした毛だ。だからムクゲなのか」
同僚、蕾と父の顔を見比べてしばし呆然。御尊父は2つの大きな勘違いをされました。まず、咲きかけたハクモクレンの木を見てムクゲと思った。そして名の由来を勝手に蕾を覆うムクムクした毛、に決めてしまった。たぶんムクゲはご存じだったのでしょう。でも木の姿、蕾、花の時期など、正確なことは知らなかった。ハクモクレンについても。もっと花が開いていたら、さすがに間違えなかったと思われますが。
親子の微笑ましい笑い話で、済んでよかったです。同僚、そこそこ花に詳しい人でしたから。
ムクゲの名の由来は、韓国語です。その話はいずれまた、ムクゲの項にて。
ハクモクレン。毛に覆われた蕾は大きくて、落葉した冬の樹に目立ちます。この蕾、前年、夏の終わりにもうできています。葉が傷み始めたら、よく観察してみてください。既に、翌春開花スタンバイ!と言いたげに、大きくてムクムクした毛の蕾がついています。
春、まだ風が冷たい日も多い頃。ハクモクレンは開花します。咲いてしまうと、花弁が傷むのも、散るのもあっという間。春の短さ、儚さを体現するように。だいたい同時期にコブシも咲きます。北国の春、のイメージが強くて、野山で大木となるコブシですが、ハクモクレンと同程度の剪定管理可能なので、意外と多く街路樹にもなっています。
コブシは蕾、花ともに、ハクモクレンより少し小さめで、咲くとだらしなく開きます。なお日本の野山にあるのはコブシ、似ていて識別がやや難しいタムシバ、大木にならないシデコブシ。ハクモクレンは中国原産。ハクモクレンも本来はトンデモナイ大木になります。新宿御苑などに大木があり、満開時は壮観です。
さて、モクレン属は300以上の種があります。日本に自生または、栽培され、かつモクレンらしい落葉樹は、ハクモクレン、コブシ、タムシバ、シデコブシ、そしてシモクレン、サラサモクレン、キモクレン。最後の3つはこれから説明します。
シモクレンは紫木蓮です。単にモクレンといった場合、狭義ではシモクレンになります。ハクモクレンより遅く咲き、花と葉が同時展開、八重桜みたいな咲き方をします。それと、ハクモクレンとシモクレンの交配種がサラサモクレン、別名ニシキモクレン。いくつか品種があって、ハクモクレンとシモクレンの良いところどりしてます。最後、キモクレン、あまり見かけませんが植物園にはあるし、少し前に流行りました。花の色が黄色です。見かけたら喜びましょう。幸福の黄色い木蓮です。 本当か?
これらすべて、蕾はムクムクした毛に覆われています。ムクゲと間違えないでくださいね。
間違えないだろう・・・。
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