【おすすめ植物本】ウメ【晴読雨読-3】
庭にある紅白2本のウメは、私が幼少の頃からある古木だ。他に盆栽の冬至梅もあり、そちらも樹齢50年を超えている。古代、中国から渡来しながら、万葉集ではサクラより好まれたというウメ。現代でも庭木としてはサクラよりずっと多い。しかしながら、和風の庭が減り、戸建てでも庭面積が減り、新たにウメを庭木とする家が激減している感は否めない。日本人の心の花のひとつであり、衰退させたくない花だ。
『ウメ (NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月)』 大坪 孝之(著)、NHK出版、2002年
庭植えのウメと鉢植えのウメ。それぞれの管理について、月別の解説はとてもわかりやすい。庭植えでは、花ウメ、実ウメ、両方の要素が網羅されている。基本的には本書に則れば、庭や鉢のウメを弱らせることなく、毎年、花を楽しむことが可能であろう。季節ごとにいくつかある作業を怠らなければ、ウメの栽培は難しくない。盆栽として樹形を作るための高度なテクニック、一般には馴染まないが接ぎ木などの繁殖方法にも触れられている。
『ウメの品種図鑑』 梅田 操(著)、誠文堂新光社、2009年
約500品種とされる日本に現存するウメを網羅した品種図鑑は本書のみ。著者自身が約300品種ものウメを収集、栽培されながら、探求のため各地の梅林、ルーツである中国にまで足を運ばれている。花や実の写真撮影もご自身によるもの。大変な労作である。序に「一目見て違いの大きい品種は容易に区別できるが、わずかな違いの品種の区別は困難」とあるのはその通りで、情けないことに我が家の庭にあるウメの品種は特定できていない。
『梅のルーツ―中国横断山脈探梅記』 梅田 操(著)、誠文堂新光社、2009年
『ウメの品種図鑑』の姉妹編として発行。ウメは中国から古代に渡来、日本人の暮らしに密接な関りを持ち続けてきた。それ故か、中国でウメがどのように自生あるいは栽培され、どのように親しまれているか等々、現地からの情報が聞こえてこない。著者は品種図鑑の仕事と併せて中国四川省、雲南省、チベット自治区にまたがる中国横断山脈を踏破。数々のウメが現地でも健在、かつ、その地域の文化の中にウメが存在することを教えてくれる。