魅せる写真の基本構図 #01
写真を撮る際、構図の重要性は言うまでもありません。しかし、その写真をSNSや印刷物など様々な媒体で使用するときに、縦長、横長、正方形といったように仕様に合わせて画角を変更する必要性が生まれます。
ここでは、写真の基本的な構図を理解し、画角が変わってもインパクトを残せるトリミングのコツを紹介します。写真をより魅力的に表現したい方や、構図の基本を学びたい方におすすめです。
まずは、押さえておきたい基本構図を解説します。
『日の丸構図』 Centering
被写体や重要な要素を画面の中央に配置し、視線を真ん中に引きつける構図です。主題がシンプルに強調されるため、見る側にもわかりやすく、ストレートに伝えやすい表現方法です。これは、多くの方が無意識に実行している構図かもしれませんが、細かいところに気を配ることで、より豊かな表現につながります。
「日の丸構図」は力強く、分かりやすい構図である一方、単調になりがちです。他の要素とのバランスを意識しましょう。この作例では前ボケした木の葉が心地良く配置され、奥行と臨場感を演出しています。
主題を中央に配置する際に、その主題のどの部分を強調せたいのかを考えると、構図の意図がより鮮明になってきます。ここでは、ハチミツがパンケーキのトッピングにかかる位置を中央に配置しています。垂れ落ちるハチミツがセンターラインに沿って真っ直ぐ落ちるのも印象的です。
ポートレイト写真において「瞳」は重要な要素です。ここでは、顔ではなく瞳を中央に配置することで、より印象的なポートレイトになっています。
中央に配置する要素は、複数でもOKです。ここでは、3つのカップが三角形を形成して中央に配置されることで、安定感のある構図になっています。
『三分割構図』 Rule of thirds
写真構図の三分割法とは、画面を水平と垂直に等間隔2本の線を引き、9等分に分ける方法です。これによって、被写体を画面のどこに配置するかの整理がつきやすくなります。撮影時に意識することはもちろん、撮影後の編集にも役立ちます。
三分割構図は、被写体や重要な要素を、三分割のライン上、又は、ラインの交点付近に配置する構図です。「日の丸構図」とは逆に主題を中央からズラして余白を作ることで写真に広がりを与え、ストーリー性を高める効果があります。
カウンターの対角に伸びるラインが活かされ、奥行きが生まれます。雨のガラス窓が全体の約半分を占め、ポツンとあるコーヒーカップとの対比が、色々なストーリーを想像させます。
シンプルな構成の写真ですが、三分割の交点に被写体を配置した上で、対角線をうまく利用し、安定感のある構図になっています。
壁画の女性の瞳と男性を対角に置き、縦中央3分の1内のエリアに収める配置。力強い瞳と気に止めずに歩く男性。この二つの要素の関係性が面白く、且つ、バランスよく配置されています。
下から3分の1の線上にコップのトップを配置して、奥行きを演出しています。更に、スプーンの柄(え)を左肩上がりに右の2カップだけに挿すことで、重心のバランスを取り(左のコップにも同じようにスプーンを挿すと左に重くなる)構図に安定感を与えています。
【注意点】三分割法は、あくまでもガイドラインで、厳格に従う必要はありません。グリッドや交点を参考にしつつ、状況に合わせて柔軟にアプローチしてください。創造性こそが最も大切な要素です。規則に囚われ過ぎずに自分のアイデアを表現することも忘れないでください。
グリッドにハメる『三分割』の応用
画面をセンターで2分割する『二分割構図』や『日の丸構図』を『三分割構図』と掛け合わせることで、さらに表現が広がります。
画面の縦を三分割し、それぞれのエリアに異なる要素を配置。また、同じように尖った形状を持つ建物と山頂をセンターに合わせて対比しながら置くことでバランスを取っている。
空を縦半分で区切り、桟橋を中央に配置。手前の植物は下3分の1に、樹木は中央右3分の1に収められ、残りのスペースとのバランスを取っている。
波打ち際のラインを上から3分の1に収め、被写体を縦3分の1のエリアに配置。中央につくられたダイヤモンドがシンプルな構図にアクセントを加えている。
一見、縦中央3分の1にほぼ全ての要素を詰め込んでいるだけのようにも見えますが、センター線と対角線(青線)を施すと、ドレスの裾へかけての広がりやブーケの角度、肩の位置や顔の位置・角度まで、かなり綿密に計算されて配置しているのがうかがえます。
まとめ
これ以外にも写真の構図はたくさんありますが、大切なのは「何をどう表現したいか」という明確な意識です。ここであげた基本の構図を参考に色々、チャレンジしてみてください。次回は、Photoshopを使って、画角に合わせたトリミングのコツを紹介します。
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