見出し画像

スケッチ道具の話 白色の描画具

使っている道具について尋ねられることがありまして、逐一回答するには長い為、ここにまとめ記します。
紹介にあたり写真は各メーカーのHPから拝借しました。
手持ちの道具の写真は色々と微妙な出来でしたのでご容赦を。
各道具のタイトルは製品へのリンクになっています。

白色の描画具

まず、総論。

▶良い点
・あると便利!
黒に白の水玉とか、白色が無いとやってられませぬ。

▶課題
・色の出方の幅が広すぎる。
モヤみたいな薄い白から、しっかり白になるものもある。

・ペンは仕様も多様。
色には満足だが、仕様が性格や状況とあわないこともある。

機能がよくても、合わないと使わなくなりますし、
まず、性格や状況にあった仕様を優先し、
次に、しっかり白色が出る道具をお勧めします。

ということで、仕様ごとの感想。

・攪拌式のペン
ペンをシャカシャカ振るタイプ。
振るときキャップをし忘れるとインクが飛び散る。
僕は描いていると夢中になりやすくキャップをし忘れがちです。
性格との相性があります。
種類によっては飛行機に乗ると気圧のせいでインクが溢れ出ることもある。

・握力で充填式
握った圧力でペン先にインクを充填するタイプ。
慣れていないとインクが出すぎて画面にこぼれる事故が起きる。
飛行機に乗ると気圧のせいでインクが溢れ出ることもある。
もしくは、そもそも密閉袋に入れないと持ち込めないことも。

・ボールペン式
種類も豊富で白色の出方も色々。
細かい描写がしやすい。塗りよりは線用。
素早く線を引くとインクが途切れる。
使う間を開けるとインクが出にくくなる。

・そのまま描けるペン
ニブを紙に押し付ければインクが滲み出て使えるタイプ。
白色の描画具としては比較的新しい仕様。クセが無く使いやすい。


試し描き

現在使っている白色描画具の参考に。

まずはこの順に、次いで今は使っていない道具を紹介します。
総じてしっかり白が出る道具を使っています。


DERWENT DRAWING
Chinese White 7200

粒子が細かくソフトな白という雰囲気。
ざらついた粗い感じは出しにくいが、上品な感じが欲しければ向いてる。
amazonで買えます。
試し描きは最上段。
上から、
一回だけ引いた線、何度も塗った場合、塗った上に描画テスト。

▶良い点
・塗った面が奇麗。粒子がきめ細かい。
・ソフトな白さを利用してグラデーションを作ったり、明度を上げるのに使いやすい。

▶課題
・日本では直接入手できる店舗が少ない。
・高い。(意外と長持ちするのでランニングコストは安め)
・本体が太くて入らない鉛筆削り器がある。
・色鉛筆への加筆には不向き。試し書きの左端参考。
・色鉛筆なので他の道具よりは筆圧が要る。

DERWENT Chinese White 7200を使った参考スケッチ。
右側部分、明度を上げたりグラデーションの為に利用。

HOLBEIN アーチスト色鉛筆
OP500 ホワイト

西田 真魚さんが使っていたのを試して気に入り使い始める。
試し描きは2段目。
上から、
一回だけ引いた線、何度も塗った場合、塗った上に描画テスト。

▶良い点
・塗った面が奇麗。比較するとDERWENTより若干粗い感じがするが、気にしないと気にならないくらいの差。
・油性色鉛筆の中では安め。
・入手しやすい。

▶課題
・色鉛筆への加筆には不向き。試し書きの左端参考。
・色鉛筆なので他の道具よりは筆圧が要る。

HOLBEIN アーチスト色鉛筆 OP500 ホワイトを使った参考スケッチ。人参部分。

Arrtx
Acrylic Marker White


そのまま描けるタイプ。すぐ使えるというのはとても良いこと。
amazonで買えます。
試し描きは3段目。
上から、
一回だけ引いた線、何度も塗った場合、塗った上に描画テスト。

▶良い点
・しっかり白が出る。3回塗ればほぼ白になる。
・サインペンタイプとブラシタイプがあり、ブラシは面塗りもしやすい。
・安い。amazonで1本150円くらい。
・使い始めはペン先も立っていて精密描写しやすい。

▶課題
・日本では直接入手できる店舗が少ない。
・ペン先の耐久度は低め。比較的ぼそぼそになりやすい。
・インクが薄くなったりニブが固まったりと、買い直し頻度が高い。
・ペン先が汚れやすい。

Arrtx Acrylic Markerを使った参考スケッチ。
窓部分はAcrylic Markerで白を塗った後、薄紫を上から塗っている。

SAKURA ピグマックス

100均で売っていたそのまま描けるタイプ。
絵の具の上に描画するというより、濃い色の素材の上に描く用かも。
結局、薄すぎて使うのをやめた。
試し描きは4段目。
上から、
一回だけ引いた線、3回塗った上に描画テスト。

▶良い点
・安い

▶課題
・白というより、少し白くなる程度。
・ニブがざらついているので、何度も塗ると紙が傷つく。


SAKURA クレパス

上に描く白としても使えるクレパス。
ちなみにクレヨンとクレパスは向いてる用途が異なります。
オイルの性質が強く、夏は暑さで柔らかくなります。
試し描きは5段目。
上から、
一回だけ引いた線、2回塗った上に描画テスト。

▶良い点
・塗り重ねなくてもしっかりした白色になる。
・安い
・定番品。終売は考えにくい。
・入手しやすい。

▶課題
・乾いて固着する画材ではないので、手の動きでこすれて剥離したり、
 スケッチブックを閉じると反対側に着いたりする。
・細かい描写は苦手。(細いタイプもありますが、そもそも精密描写は不向き)

SAKURA クレパスを使った参考スケッチ。

DelGreen
Paint Stick White

香港でスケッチ会をしたときに友人がプレゼントしてくれた画材。
水性ブラシペン以来のプチ衝撃をうけた新しい道具です。
何故かメーカーのサイトに商品紹介が無いため、リンクはアマゾンにしてます。そう、つまり、amazonで買えます。
試し描きは6段目。
上から、
一回だけ引いた線、3,4回塗った上に描画テスト。

▶良い点
・塗り重ねるとかなり白になる。
・広い面でも塗りやすい。オイルパステル的。
・乾くとしっかり固まる。オイルパステルとは異なる点。

▶課題
・日本では直接入手できる店舗が少ない。
・流通の関係上、単品での入手ができない。
・速乾ではない。少し待つ。
乾く前に上に描画すると、描画したペン先について乾き、支障をきたすことがある。

DelGreen Paint Stickを使った参考スケッチ。下部、文字の修正で使用。

おまけに、昔使っていた道具。

呉竹
ZIG Cartoonist 白筆ぺん

かつて愛用していた握力で充填式の代表格。
インクポタポタが何度か起きたため、使うのをやめた。

▶良い点
・塗り重ねるとわりと白。(かなり白、ではないが、良い雰囲気。)
・精密描写がしやすいし、ペン先の耐久性も良い。
・インク残量が見えるので、まだ使えるかどうかの管理が楽。

▶課題
・強く握ると液漏れするので注意。
・飛行機内は気圧でインクが溢れ出ることも。

呉竹 ZIG Cartoonist 白筆ぺンを使った参考スケッチ。水滴部分。

三菱鉛筆
uni POSCA 白

かつて重宝したペン。
攪拌式が性格と合わず使わなくなった。
屋外に持ち出すときは細いタイプが嵩張らずお勧めです。

▶良い点
・塗り重ねるとかなり白になる。
・ラインナップが豊富。
・定番品。終売は考えにくい。

▶課題
・飛行機内は気圧でインクが溢れ出ることがある。

POSCAの金色が気圧であふれた惨状。

Copic
Acrea 001 Snow White

攪拌式だったため、僕の性格とあわず利用をやめた。
道具が悪いわけではない。

▶良い点
・しっかり白が出る。

▶課題
・ニブがざらついているので、何度も塗ると紙が傷つく。


末文。
アクリル系マーカー、スティックペンなどが登場し、
白色画材がより使いやすくなった。

家で使う場合はどんな道具でも良いと思いますが、
家の外でのスケッチには、性格と相談して周囲を汚さない道具を選んでください。
スケッチはさせてもらえて、できることなので、周辺を汚さないのは大事。
攪拌式も、握力で充填式も、相性が良ければとても良い道具。
僕が使わなくなったのは「僕が使うと周囲を汚す」に尽きます。

白、あると便利なので是非1本は携帯してほしいです。

最後にもう一度、試し描きの比較を。


最後まで見て下さりありがとうございました。

ほかの道具

項目名がリンクになっています。


いいなと思ったら応援しよう!

タケウマ
サポートいただけますとものすごく助かります。新しい記事を描くアレコレに使わせていただきます。