元に戻ろうとする性質
伊勢木綿
愛用している伊勢木綿。これは三重県の伊勢地方で古くから作られてきた木綿で、洗うと綿(わた)に戻ろうとする性質がある。なので使い込むほどにふんわりとした手触りになる。
幼少期からアトピーで苦しめられてきたが、症状が辛い時はこの木綿を患部に当てると痒みや痛みが治まってくる。(気がする)
いつからこの伊勢木綿を使っているのか忘れてしまったが、使い始めた理由は、母がこの木綿を愛用していたからだ。地元の三重県。自宅から車で小1時間ほど走ると、津市の臼井織布株式会社さんに着く。
そこでいろいろと生地を買い込んでは、母はいそいそと色々なものを作る。がま口、長財布。タブレットケース。他にも、無地の薄手の生地をたくさん買って自宅で藍染めにしたりもする。
下の写真は、伊勢木綿を使って俺のシャツを仕立ててくれて、しかも藍染めも母が自分でやってくれた。しかし、ボタンを取り付けた後に染めたのでボタンも少し染まってしまっているのはご愛嬌。
この生地の、「元に戻ろうとする性質」というのがなんとも堪らなく好きだ。なんだか健気な気さえする。姿かたちが変わっても、元の姿に戻ろうとする。そこに強さと優しさを感じる。
生体恒常性
人間や動物。生命体にも同じような機能がある。それが生体恒常性。ホメオスタシスとも呼ばれる。
簡単に言うと、生命体は安定した状態を保とうとし、悪い状態になっても元の安定した状態に戻ろうとする。
例えば病気になったとして、それでも体は悪い状態を放置せず、元の健康な状態に戻ろう戻ろうと頑張っている。それでもなぜか治らないのは、何かが邪魔をしているからだろう。何が邪魔をしてしまっているのかは人それぞれなので「これが原因だ」とは言い切れない。
慢性化している症状があって、なぜ治らないのかと考えたとき、自分の生活を見つめると答えが見えてくるはず。
慢性化した症状の本当の原因は、医者や治療家では見抜けない。症状の本当の原因を見抜けるのは自分自身だけ。なぜなら24時間あなたのことを見ているのはあなただけだから。
伊勢木綿が健気にも、元の綿(わた)に戻ろう戻ろうとしているように。人間の身体も、元の良い状態に戻ろう戻ろうとしているのだ。それはそれは健気に。
この世のものは全て、元の形に戻ろうとしているのかもしれない。
それはそれは健気に。